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ファンファーレは聞こえるか?

「レベルアップ」という言葉を知ったのは1986年に発売された「ドラゴンクエスト」というファミコンソフトからだったと思う。
ゲームなので能力や経験、ダメージなど全てが数値化されていて、モンスターを倒す事で経験値を稼ぎ一定数に達すると「レベルアップ」し、「ちから」や「こうげき力」といった能力の数値が上がった。

このステータス数値の「見える化」はゲーム上では分かり易い指標なのだが、コーエーテクモゲームズの「三国志」「信長の野望」などの歴史シミュレーション系のゲームで実在した人物のステータスの数値を見ると少々辛くなることもある。
ゲームにおけるステータスの数値は第三者による相対的な価値判断なので、ゲーム内に登場する全ての武将のあらゆる能力が数値で表される。
例えば三国志11では、曹操の魅力96に対し、黄晧の魅力は驚愕の「1」!!

対して黄晧は、武力1統率1政治10知力30…
…悲惨。この人って蜀の国を事実上治めてたのに…まあ、無能過ぎて国を滅ぼしたんだけどね。
しかし、1800年も後の人にこんな評価をされるのもキツイ話だ。

日本人で言うと、例えば「信長の野望新生」の場合…
織田信長 統率99 武勇88 知略95 政務100
天下統一に王手をかけた主役なので当然だとも思う。

今川義元 統率94 武勇85 知略88 政務94
あまり人気ないけど、東海道一の武士と評され、武田信玄とも互角に渡り合った名将で、自国領内の統治に優れた手腕を発揮した政治家でもあっただけに、高評価だな。

石田光成 統率70 武勇61 知略77 政務98
天下人・秀吉のもとで五奉行という重臣に登りつめ、太閤検地など多くの政策に携わり、制度を整えていった時代の立役者である光成だが、負けてしまえば評価はこんなものか…

謎なのが、
お市76 52 74 62
お江72 48 74 77
と女性ながら意外(?)な高評価な一方、
大井貞隆 31 26 26 47
二本松義継34 31 39 22
は「製作者の親の仇か?」と勘繰りたくなるほどの低評価である。しかもこれは第三者による“その人物の最終評価”である。すでにレベルアップが終わった状態の評価なのだ。失策の悪評の記録が残ってしまうと後世にまで残ってしまうという事か。これでは我が子孫に申し訳が立たないので、襟元を正そうという気になる。

「他人と比べることはない」とはよく言われることだが、自分の置かれた環境内での相対的な比較はしておいて損はないと思うし、他者による評価は常にされているということや、判断基準は理解しておくべきだと思う。

その上で、自分の能力が数値化されたらどんな結果になるのか?怖い反面、興味がないと言ったら嘘になる。

現代社会ではどんな能力値パラメータになるだろうか?ドラゴンボールなら戦闘力が大きなウエイトを占めていたが、現実世界で戦闘力が必要になる場所も少ないし、そもそも何をもって戦闘力とするのかも難しい所だ。ボクサーとレスラーの戦闘力をどう判断するか?とても比較できないし、一般的には特に必要ない能力なので「体力」としておこう。

ゲームでも知力が重要になることが多いが、この知力に学歴は関係ない。となるとまた難しい。数学者と歴史学者を比べる意味がないし…無理だ。数値化するには厳然たる基準が必要だが、そんなものがある訳がない。細かくジャンル分けした上でその中で更に細分化すればある程度は可能かもしれないが、残念ながらそれほど暇ではない。

能力を数値化する事は非常に困難だという事が分かったが、何となく能力分けし易く、かつ数値化し易い職業があった。それは政治家。
三国志にあった「政治・魅力・統率」なんて打って付けじゃないか。…とは思ったが、政治家の能力を数値化すると悲しい気持ちになりそうなので止めておく。

では自分の場合はどうか?職業がミュージシャンでありベースプレイヤーなので「演奏力・創作力・表現力・魅力」辺りが重要なパラメータになりそうだ。数値で表すとなると基準が必要だが、これも相当難しい…というより不可能だな。それ以上に、その数値に意味がない。絶対的な比較対象も相対的な判断材料もないからだ。
ならばレベルだったらどうだろう?レベルならあくまで段階であって限定的な能力値ではないからもう少し表し易いのではないだろうか?

演奏力・創作力・表現力・魅力を総合的にレベルで判断するのは乱暴な話ではあるが、ある程度の指標にはなるだろう。
17歳でベースを買ったので、気が付けばベース歴34年ということだ。そしてプロデビューして28年になる。
これだけ見ればLv.50(上限Lv.99として)くらいありそうだが、歴の割に大して上手くないし、特に売れてもないのでLv.25くらいが妥当な所か。
ゲームの様に経験値がそのまま反映されれば良いのだが、現実はそういう訳ではないからこれ以上レベルが上がらないなんて事は往々にしてある。
しかし、最近になって新しいことにチャレンジしているので、それに関しては超初心者でもある。現状Lv.5といった所だ。ということはまだまだレベルアップ出来る“伸びしろ”があるか?
そう言えば、「♪タララタッタッタ~」とファンファーレが聞こえる瞬間があるからまだイケるかもしれない。
だが、魅力なんて一つの失敗でゼロになってしまう可能性もあるし、創作力もスランプに陥ればゼロになってしまう。レベルをキープする事すら難しく、常に人間としてアップデートしていなければ簡単にレベルダウンしてしまう。
しかも、これは年齢を重ねれば重ねるほど困難な事だと、歳を重ねて気付いた。

という事は「アップデートする能力のレベルアップ」が今、最も必要な事なのかもしれない。

♪タララタッタッタ~

みなさんのお気持ちは毛玉と俺の健全な育成のために使われます。