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名もなき偉業

自分の子どもの誕生日というものは、やはり特別だなと思う。大きくなったねえ…と、最近毎日のように言っている気もするが、本当に日々、ぐんぐん育っていく人間たちと生活することは、この上ない幸せだなと思う。

子どもは天真爛漫だ、という言葉をときどき耳にする。そのたびに、本当に?と思う。子どもは怒られても数分経つとケロっとしているとか、昨日のことなんて忘れて今を楽しんでいるとか。

少なくとも自分はまったくそんな子どもではなかったのだ。叱られたことは根に持つし、細かいことも後々までしつこく覚えていて、まあ可愛くない子だったと思う。

息子たちを見ていても、ちょっと自分に似ているところが見えたりして、ときどき胸が痛くなったりする。

頑張ってるんだよな。楽しいこと、面白いことばかりじゃない。先生や友達との間で、ルールやスケジュールの中で、葛藤やもどかしさを覚えて。それを上手く言葉にできなくて。でもなんとか社会の中で生きている。そういう一日、一日の積み重ねの上で、「大きくなったねえ・・・」はできている。

子どもだって、ラクじゃないんだよ。子どもは子どもなりに、得体のしれない大きなものと格闘しているんだ。それでも毎日、ちゃんと学校や幼稚園や習い事に行って、小言を言われながらも宿題をやって、寝落ちしそうになりながら歯磨きとかして。

もうそれだけで、すごいんだよ。そうやって君たちが今日もここにいて、エネルギーを使い切って寝息を立てているそのことが、どれほど奇跡で、かけがえのないことか。

子どもの誕生日は、そんな、名もなき偉業を称える日だと思う。

いつもはダメだよっていうジュースのおかわりも、たまにはいいだろう。ちゃんと自分の足で立って、一日、一日を生きていることに、誇りを持て。胸を張れ。君たちはすごい。



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