わかりそうでわかりづらいパーパス
富士通が12年ぶりにFujitsu Wayを刷新、DXを全面に打ち出すとともに中心にパーパス(=社会における当社の存在意義)なるものを据えました。
パーパスってなんだ?
富士通は「社会における当社の存在意義」と定義しています。耳慣れないなと思っていましたが、パーパスを定めている企業は他にもあるみたいですし、今年に入ってパーパスを定める企業も見受けるようになってきました。
これまではミッションや企業理念という表現であったものが、改めて見直され、新たにパーパスとして登場している印象です。それはつまり時代が大きく変わりつつあることの表れではないでしょうか。
パーパス以前のミッションや企業理念
ワタシ的にわかりやすく共感もできる理念に、ソフトバンクの「情報革命で人々を幸せに」があります。
孫氏がサイエンス誌で見たチップに涙を流して感動し、情報技術で人々を幸せにすると決意した話は有名です。
一方、経営方針的な例として有名といえば三菱の三綱領でしょうか。
同社のサイト内では理念と表現していますが、ここでは実現したい何かというより、どういうスタンスで社会の中でプレーするかを語っています。企業として永続的に事業をしていくことに光を当てた表現です。
一方のソフトバンクの経営理念(昔はミッションと呼んでいた記憶があります)は手段と目的で語られています。
すなわち、情報革命で(手段)人々を幸せにする(目的)のです。
裏返すと、情報革命で人々が満たされる時代が来たのなら、彼らは解散しても構わないという意思表示であり、目的志向の米欧的な印象を受けます。
実際にはソフトバンクは群戦略(同社グループが300年続けるための戦略)を展開し、最近は情報革命からAI革命に集中していくと述べていますので、一度決めた理念に固執して、理念と心中するというわけではなさそうです。
富士通のパーパスの本気度
さて、富士通のパーパスに話を戻すと、彼らの行動からは並々ならぬ決意を感じます。ソフトバンクのようにもてはやされていないようですし、パーパスを展開した当初、周囲からは笑いも起きていましたが、序盤からものすごい行動が伴っています。
2019年に現社長である時田氏が就任、すると翌年2020年の4月には同社子会社の富士通総研を母体にリッジラインズを設立、CEOやCIOなど要職を外部からハイアリングしています。さらにその他のSI系子会社の思い切った統合にも踏み切り15社以上を集約します(20、21年の2段階で実施)。20年7月には全社DXプロジェクトであるフジトラをスタートし、改革は断行中としています。
富士通:DX説明会資料より抜粋
同グループの2019年の総従業員は13万人。一見、地味に見えるかもしれませんが、これほどの巨体を1年2年で変えるとか並の進行でないことがわかります。
パーパスの今後の展開
これを受けてか受けないでか、博報堂とnoteは共同でパーパスを発信するサービスを発表しました。
(博報堂は_(アンダースコア)好きですね笑)
博報堂は特にブランディングやクリエイティブに力点を置いており、ブランディング支援としてサービス展開することには納得ですが、サービスとして伸びるかどうかはまだ未知数でしょう。しかし少なくとも、パーパスは掲げるだけでなく発信していくことが重要な時代である、ということは言えそうです。
ちなみに金融業界では、赤い銀行がMUFG Wayとしてパーパスを定めたようです。存在意義として「世界が進むチカラになる。」と掲げています。