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ざくっと『シン・ニホン』 :3章 求められる人材とスキル

■3章の目的と構成

3章の目的は,「人材像」を理解すること!

3章の構成は,以下の4つのパートで構成されている.

・ワイルドな局面で求められる人材とは
・普通ではない人の時代
・多面的な人材のAI-ready化
・知性の核心は「知覚」

以下,それぞれのパートについて概要を説明する.


■ワイルドな局面で求められる人材とは

ワイルドな局面で求められる人材とはどのようなものか.カギは次の2つに集約される.

・価値を生み出せる人と場を生み出す
・多面的な人材のAI-ready化


■普通ではない人の時代

未来を変える人は「まったく枠には収まらないが何かに突き抜けて」いて,普通の人とは明らかに違う「異人」.(これに対して,すでにできた社会を回す人は「均等に万遍なくできる人材」)


何かを始める一握りの「起爆人種」,起爆人種に感動して一緒に動く1割程度の「参画人種」,これらの動きを好ましく思う2~3割の「応援人種」,動きに無関心な4~5割の「無関心人種」,動きそのものが好ましくないと思う1~3割の「批判人種」がいるとすると,「起爆人種」と「参画人種」が異人系.

価値創出には3つの型「N倍化(大量生産)」「刷新(A→B)」「創造(0→1)」がある.この中で,一番力強いのは「創造(0→1)」であり,異人系はここを担うことになる.

なお,異人であろうとなかろうと,「運・根気・勘」に加えて,「人としての魅力」,すなわち,「チャーム」がないと,成功することは難しい.

巷のビジネス書や歴史書は,戦略や戦術,スキルについての重要性を説くことが多いけれど,「チャーム」が大切なのだということを説くものは少ない.『シン・ニホン』では,真正面から,この大切さを教えてくれている.

(参考)
・「“異人”認め育てる社会を─ヤフー安宅CSOが若者へ提言」https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/02215/?P=2 


■多面的な人材のAI-ready化

データ×AIの力を解き放つためには, 「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の3つの力が必要となる.

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(図の出典:「第10章(講演録)“シン・ニホン”AI×データ時代における日本の再生と人材育成」(安宅和人) https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/00report/inv2017/inv2017_report10.pdf  p6 )


ビジネス力がないと解決すべき問題が定義,整理できない.エンジニアリング力がないと,キカイに任せられず,量的な展開ができないため必要な変化を十分に起こせない.サイエンス力がないとそもそも知恵のあるアプローチがとれない.

特に,ビジネス力とサイエンス力は以下のように説明されている.

【ビジネス力】 
ドメイン的な知識,文脈の適切な理解に基づき,どのような課題をどのような局面で解決すべきかを見極められなければ(いわゆるイシューの見極めと整理),価値など生み出しようがない.また解くべき課題がわからない人はアウトプットの価値すら判断しようがない.
【サイエンス力】
虚心坦懐に現象を見る力,その上で分析的,論理的に物事を考え整理する力


そのうえで,人間がなすべきことは何か.それは「新しい問いを立てること」である.キカイは異常値を判別してくれるが,全体としてどう考えるか,そして,人を動かして事を成すのは人間が担うところになる.

新たな問いを立て深い気づきを得られるかは,活動の目的や文脈,さまざまなことに照らし合わせて,何かをかぎ分ける力(“嗅覚”),統合して意味合いを考える力(洞察力)の有無にかかっている.

(参考)
・データサイエンティスト協会 https://www.datascientist.or.jp/
・デジタルリテラシー協議会 https://www.dilite.jp/
・データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説 https://www.ipa.go.jp/files/000083733.pdf
・人工知能はビジネスをどう変えるか DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文 Kindle版 https://amzn.to/383cTmv


■知性の核心は「知覚」

『シン・ニホン』では,入力(インプット)を出力(アウトプット)につなぐ能力を「知性」と捉え,その核心は「知覚」であると考えている.

この「知覚」は経験から生まれるが,「知覚」を鍛えるためには2つのマインドセットが必要.

1.ハンズオン(hands-on),ファーストハンド(firsthand)の経験を大切にすること
2.言葉,数値になっていない世界が大半であることを受け入れること


そして,深い知覚を持つ領域を生み出すための近道として,

理解しようとする領域を狭めることは避けつつも,まずは1つでもいいから半ば変態的にこだわる領域を見つけること

が挙げられている.


この「知覚」を鍛えることにより,気づく力,引っかかる力が高められる.人の成長力は「気づく力」に依存しており,「スポンジ力」より自分なりに引っかかる力を大切にすることが重要.

(参考)
・知性の核心は知覚にある DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文 Kindle版 https://amzn.to/3gpkmAF
・『イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」』(安宅和人) https://amzn.to/3B3lDoZ


■まとめ

・普通の人とは明らかに違う「異人」が新たな価値を生み出す

・データ×AIの力を解き放つためには, 「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の3つの力が必要

・「知性」の核心である「知覚」を鍛え,「気づく」ことにより成長していくことができる.


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