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ざくっと『シン・ニホン』 :4章 「未来を創る人」をどう育てるか

■4章の目的と構成

4章の目的は,「人材育成」を理解すること!

4章の構成は,以下の5つのパートで構成されている.

・3層での人づくり
・国語と数学の力を再構築する
・未来を仕掛ける人を育てる6つのポイント
・初等・中等教育刷新に向けた課題
・専門家層・リーダー層の育成

以下,それぞれのパートについて概要を説明する.


■3層での人づくり

AI×データ時代において未来に向けて仕掛けていくためには,「リーダー層」「専門家層」「リテラシー層」の3つの層での人づくりを考えていく必要がある.

特に,リテラシー層としては,

ある程度の理数,デザイン素養は理文・専門を問わず必修化すること,すなわち理文融合が必要

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(図の出典:「第10章(講演録)“シン・ニホン”AI×データ時代における日本の再生と人材育成」(安宅和人)https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/00report/inv2017/inv2017_report10.pdf p.7)

■国語と数学の力を再構築する

<国語>
現在は,「空気を読む国語」が教えられており,社会に出てから,『考える技術・書く技術』『ロジカル・シンキング』 を用いて独学しなければならない状況.

データ×AIの時代は,「分析的に物事を捉え,筋道だてて考えを整理し,それを人に伝える力」が必要である.そのためには,

「分析的,構造的に文章や話を理解し,課題を洗い出す」という理解・解読能力

と,

「明確かつ力強く自分の考えを口頭及び文章で伝える」表現・伝達能力

の育成が重要である.


<数学>
データ×AIの時代では,「万,億単位のパラメータ(変数)を扱うために,道具としての行列(あるいはその延長としてのテンソル)が情報科学(特に深層学習)で酷使されている」ことを考えると,「行列」の基礎は学んでおくべきなのに,学習過程にも入っていない「リスクの高い状況」となっている.

ヤヴァいんちゃうの,これ?!


■未来を仕掛ける人を育てる6つのポイント

未来を仕掛ける人を育てるために,以下のような6つのポイントが挙げられている.

・意思,自分らしさ,憧れ
・皮膚感を持って価値を生み出すことを理解する
・サイエンスの面白さと意味への理解を深める 
・夢×技術×デザイン視点で未来を創る教育を刷新する
・道具としての世界語を身につける
・アントレプレナーシップの素養

専門家層については,「大学の基礎教養終了までにカバーしておくと望ましいもの」として,分子細胞生物学なども含めて,サイエンス(自然科学)の広がりの必要性が具体的に挙げられている.

また,アントレプレナーシップの素養としては,6つの素養が挙げられている.

・イノベーションとは何か
・ビジネス課題の広がりと解き方
・事業をどのように作るか
・収益(売上)と利益の違い
・そこでの押さえどころは何か
・事業を率いるためのマインド


■初等・中等教育刷新に向けた課題

「全員同じ教育」をやめる,反転学習の導入などが提案されている.


■専門家層・リーダー層の育成

これから求められる専門家層・リーダー層は,以下のような人だと定義されている.

・時代の変化から生まれるリアルな課題解決にエキサイトする人
・統計的な素養を持った上で,情報科学的な知識と技を課題解決に使う人
・課題を俯瞰し,柔軟にビッグデータ処理を実験環境から本格環境まで実現する人

今後,PhDレベルの専門家層の厚みを増していくことが必要.

(参考)
・データサイエンティスト スキルチェックリストver.3 https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck_ver3.00.pdf
・データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説 https://www.ipa.go.jp/files/000083733.pdf


■まとめ

・リテラシー層には,理数・デザイン素養は理文・専門を問わず必修化することが必要

・分析的に捉え,論理的に説明するための国語,行列を含めた数学の充実が必要

・専門家層は,サイエンス(自然科学)に馴染み,PhDレベルの層を厚くしていく必要


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