休暇の事情
ウィーンはというかほとんどどこの欧州の街でもそうだと思うけれど、夏場になると皆がこぞってバカンスへ出かけてしまい、街の人口が減少する。アーティストの友人だちもイタリアやクロアチアなどの南の海辺を目指して旅行に出てしまうし、1ヶ月くらい帰ってこない。アートセンターはもちろん夏季休暇ということで長期しまってしまう。他の業種であっても同じことだとうし、何か仕事があって連絡を取ろうとしても担当者が休暇につき、戻り次第返答しますという感じになるので、こちらは待つしかない。というのに、世界ではイスラエルによるガザへの攻撃だの、指導者の暗殺だのだとか休暇など戦争や実際の政治の舞台では関係ない。革命家のトロツキーがウィーンの社民党事務所を訪問した時、たまたま土曜日だったので誰もいなくて「革命に週末もくそもあるか」ということで驚いたというということを思い浮かべてしまうけれど、社会全体でこういう感じなのはどうなのかと時々思うことがある。いや、これは先人の人々が勝ち得た労働者の権利なのだということもできるのかもしれないけどと薄っすら思うところはあるけれど、こういった世界情勢がリアルタイムに日常のニュースとして流れてくるこの時代にそぐわしいものなのかと考えてしまった。とはいえ、だからといって労働者の休暇は自粛するというのは多いな間違いであると思う。それは全員で貧しくなれば、より貧しい人が救われるのではないかという大いなる誤解である。