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幸福度

スロベニアの個展のオープニング直後にギリシャのアテネに飛んで、それからフェリーに乗って小さな島に滞在してからウィーンに戻るともうすっかり季節は秋なのかしらということで、みなさんジャケットを着ているけれど、その数時間前のギリシャでは灼熱の30℃だったのを忘れてはいない。ところが秋になった途端、もう今年は終わりだなというなんとなく秋愛にセンチメンタルな気分が混じり混んできて、区別が付きそうにないなと思ったら週末になってみなさんおやすみなさい。ところが、君はだれだ、君はなにをしているんだというどこからともない質問がやってきてメールなどを返信しているうちに時間が食い潰され、もはや労働改革を謳う日本政府のいう労働とはいかなるものなのかを考えてようと思い立って、そうしているうちにどんどん時間が消費されていくのを見つめながら、そうは言ってもアーティストは気楽なもんだし、こんな楽しい人生なんてないじゃないのかというくらいの幸福を享受していますよということを返答したくもなった。ところで目下の懸念といえば、もう再来週にはモスクワ旅行を予定しているにもかかららず、ロシア政府の問題なのか何が問題なのかもさっぱりわからないけれども、査証が今に取れずに予定が立てられないという贅沢な悩みだ。

また10月といえば、墺美術著作権協会からの著作権使用料の支払い時期なので今年はいくら入ってくるのかしらなんていう薄汚い期待を胸に、わばよくば数ヶ月分の家賃とかにならないかなとも考えているし、それはあながち無理な話ではなくて、実際のところそのような支払いがあることも多いし、去年は新型コロナパンデミックにも関わらず、例年に違わないメディア掲載があったはずなので、もし墺政府が政策を急転換しない限りはある程度の金額になっているはずだと思う。というわけで、今年もまだまだ野垂れ死ぬことなく生きていけるじゃないかと思った。

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