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はじめてのティルト・シフトレンズ

今回は、最近買ったティルト・シフトレンズというちょっと変わったレンズの話をしてみようと思います。

ティルト・シフトレンズとは?

このレンズは、建築写真やブツ撮りなどでよく使用されるレンズです。通常のレンズには無い、ティルトとシフトという2つの操作ができます。簡単に説明すると、通常のレンズであおり撮影すると出てしまう、垂直方向の歪をシフトという操作で垂直に補正できます。また、ティルトという操作では、レンズ面を斜めにするとことで、ピントが合う面の傾きがいじれて、斜めから撮っても、全部がピントが合ってるように見せれたりします。

というのが、実用的な例です。他の例として、ミニチュアっぽい写真の撮影があります。ティルトという操作で、画面中央よりだけにピントを合わせて、上部と下部をアウトフォーカスすることで、ミニチュアのように見える写真が撮れます。

ティルト・シフトレンズの注意点として、ズームレンズのように焦点距離を変えたり、オートフォーカスでピントを合わせることはできません。つまり、単焦点のマニュアルフォーカスレンズです。はっきり言って、めちゃくちゃ使いにくいです(泣)。

動機

なんでそんな使いにくいレンズをわざわざ買ったの?という話になりますが、このレンズを買った動機は、

1. レンズの仕組みをより深く学びたい
2. ミニチュア写真を撮ってみたい

の2点です。

ティルトとシフトというレンズを移動する操作が、写真の写りにどう影響するのか、ということは、カメラを扱う人間の素養として知っておいても損は無いだろうと。(この後で、使う前には分からなかった効能について書いてます。)

実は、2つ目が大きな動機です。はじめて買った一眼レフ(EOS Kiss x7i)には、カメラの画像処理でミニチュア写真が撮れるモードがありました。はじめて九州に旅行に行った時に、このモードでミニチュア写真を撮って、凄く興奮しました。本城直季さんのsmall planetみたいな写真が撮れたと(笑)。

今使ってるカメラには、ミニチュア写真が撮れるモードは付いてません。Photoshopを使えばできると思うのですが、撮影してすぐに現場でミニチュア写真を見れないと、あの感動は味わえないと思います。それで、ティルト・シフトレンズを使えば、あの時の感動をもう一度味わえるのでは?と考えました。

福岡タワーの展望台から撮った当時のミニチュア写真です。

買ったレンズ

買ったのはキヤノンのTS-E45mm F2.8です。中古で10万弱でした。少し前に出たLレンズのラインアップもありますが、今回、はじめてティルト・シフトレンズを買うので、画角的にも使いやすく、価格的にもまだ手が届きやすい、このレンズにしました。

買ってから気づいた注意点を挙げておくと、ティルトとシフトの角度が90度に固定されいます。つまり、ティルトとシフトは組み合わせられないということです。最新のティルト・シフトレンズシリーズでは、この点が解消されていて、固定ではなく、回転できるようになっているようです。

撮った写真

ミニチュア写真ばっかり撮ってます(笑)。

今日、東急プラザ銀座の屋上テラスと東京国際フォーラムで撮りました。ミニチュア写真は、ミニチュアを見る時の人間の視点を再現するのが重要で、高い所から見下ろす感じで撮ると、それっぽくなります。画角調整ができないので、クロップで処理しました。

だんだんミニチュアっぽく見えてきませんか(笑)?

効能

まだ使いはじめて2週間くらいですが、気づいた効能について書いてみます。

感覚的な実感なのですが、通常の広角レンズを使用した時に、パースの付き具合が以前よりも気になるようになりました。特に建物を含む風景を撮ったときに、垂直方向の歪をより実感できるようになりました。これは、多分、英語の勉強をしてから、ドイツ語やフランス語のように別の言語を勉強すると、英語の特徴がより分かるようになったり、数学で言うと、複素数を理解することで、実数の性質がより深まるのと同じ原理だと思います。1つの尺度、世界ではなく、別の世界に出て戻ってくると、前にいた世界をより深く理解できるというのと似ています。そういう意味で、ティルト・シフトレンズに一度触れてみるというのは、実はとても大事なんじゃないかと思います。

あと、見慣れた風景でも、ミニチュア写真で撮ってみたら面白いかも?という発想が出てきて、写真を撮りたい欲が出てくるというのも、効能かと思います(笑)。

他には、オートフォーカスの有難さを身にしみるくらいでしょうか(笑)。どこにフォーカスを合わせるのか、ということにより自覚的にならざるをえないので、主題を明確にするトレーニングにも良いかもしれません。

おわりに

ティルト・シフトレンズは、写真だけでなく、映像を撮るにしても、普通のレンズではありえない面白い写り方をするので、演出のテクニックの1つとして応用できるだろうなと考えています。今後は映像でも試してみたいです。

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