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IB(MYP5)で学ぶ生徒が教えてくれたインターナショナルスクールの「学習の本質」【Aflevering.185】

「学習」は言語習得が目的ではない

 先日、IB(国際バカロレア)のカリキュラムで学んでいるMYP5の生徒から、学校での学習言語(ここでは英語)が第一言語でない子にとって忘れてはならない大切なことを教えてもらいました。
 私は現在、海外での日本語学習サポートとして、日本語の「読む力」や「表現力を高める」ためのお手伝いをさせていただいております。対象となる生徒は、オランダの現地校やインターナショナルスクールに通う生徒たちです。その生徒の一人が、先日私の授業で学校の先生からとても大切なことを教わったと報告してくれたのです。

 「たとえ英語(学校で学ぶ言語)が苦手だとしても、言語より大切なのは『考えて意見すること』を忘れないで!英語が話せるようになることが目的じゃない。もしうまく伝えられなかったら調べたら良いし、英語が得意な子に助けてもらうこともできる。あと、他の生徒の意見もよく聞いてみると自分の意見はもっと磨かれていくんだよ!」

 社会科(地理や歴史)の授業でも、その単元に関する基本的な講義を受けた後は、自分で何かトピックを立てて課題に取り組まなければならないそうです。「学んだ知識をどう活かすか」というところに焦点が当たっています。


 MYP5というのは、MYPの最終学年でありテストや成績に目が行きがちになります。もちろんIBでスコアをきちんと残すためには、考える力が必要になるわけですが、目先のスコアや英語自体を身につけることを考えてしまっている子にとっては、自分を見つめ直す良い機会になったそうです。それを聞いたその生徒は、英語が第一言語ではない他の生徒と「大切なことを忘れてたね」と話したそうです。

 もちろん、学習言語が日本語以外になったのがいつなのか、また、それまでにどれだけその学習言語に触れてきたのかによって、言語で感じる苦労も異なります。そして、学習言語を1日でも早く習得する努力自体を怠ってはいけないというのが前提での話だと私は思っています。

 私も限られた時間の中で、どうやって子どもたちの日本語の力を伸ばす手伝いができるのかをいつも考えています。日本語学習であっても、「身についた学習への態度や考える力は他の言語にも転移する」ということを以前に学んだので、こういった「学習の本質」を忘れないようにこれからもサポートを続けていきたいと思います。

子どもたちがくれる学び

 私が教育に関わる仕事をしていて幸せだと感じるのは、多くの家庭の子どもたちの成長に関われることです。ましてや学校教員を辞めてからは、子どもたちの年齢に囚われず4歳から19歳まで幅広くサポートができます。また、必要であれば長期間の学習サポートができるので、小学校から中学校に変わっても、中学校から高校に変わってもサポートを続けることができます。それは、子どもたちの長期的な言語発達を観察するのにも適しています。

 こういった子どもたちがくれる学びを大切にし、それを自分の授業に活かして子どもたちの学びに還元していきたいと思います。

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