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自立と探究を教育の根幹に
(2025.2.22更新)ここでは、私が2019年国際バカロレアのカリキュラムに出会い感じた魅力についてまとめています。探究をベースとするIBに出会ったことで、今の日本の学校教育に対する疑問が大きくなり、自分自身も探究できる人間になろうという気持ちを持ち始めたのです。
教員が一人の子の親となって学校教育の見方が変わる
現場で感じていた今の学校教育に足りないもの
私は2012〜20年まで、日本の公立高等学校で社会科教諭として働いていました。教員生活はとても充実しており、忙しい毎日に満足していたのですが、1つ気がかりになっていることがありました。それは「日常的に思考する習慣」です。
日頃の授業や、入試対策として面接・小論文指導をしたり、中学生の体験授業などをする中で、それが今の子ども達に足りないものだということを強く感じました。
授業では教科書に書いてあることが説明され、定期テストでは学んだ内容を正確に理解しているかを確認されるという「知識偏重型の問題」が多くを占めています。最近では「思考力を問う形式の問題」も取り入れる傾向も出てきているようですが、それでもまだ子どもたちは「答えが1つに決まっている問題」に取り組む方が多いと思います。そうすると、いつの間にか自分の視点ではなく、授業をする先生の考えや入試問題の形式に合わせて勉強する癖がついてしまうのです。
父親としてこどもに身につけてほしい力
教育について本気で見つめ直すようになったのは、こどもが生まれ自分が父親になった時でした。それまでは、教員の働き方や評価のあり方など学校教育のあり方について「学校の先生の仕事というのはそういうものだ」と思っていて、疑問すら抱いていませんでした。
私は人生で初めて「決められた枠組みの中で最大限頑張る」ことから、「設定された枠組みそのものを疑ってみる」ことの大切さに気づいたのです。
しかし、枠組みを疑うということはそれに関する様々な情報を集めないことには自分なりの判断ができません。私はこどもが生まれた時に、自分のこどもにどんな将来を迎えてほしいかを妻と一緒に考えてみました。
いろいろ考えを出していった結果を大まかにまとめると、「将来は自分の力で社会の中で生きていくことができ、いろんな人と関わって共に幸せに暮らせるようになってほしい」というようなことでした。
子育てに関する本をたくさん読んだ
学校教育を生徒の目線だけで考えるのではなく、親として、自分の子どものこととして考え直すために、子育てや教育に関する本をたくさん読むようになりました。それまでの私は、お恥ずかしいことに本を読む習慣がなく、教科指導に関することや部活動の指導に関する本ぐらいしか読んでいませんでした。多くの本を読んでいく中で、少しずつ「子育て」に関する視野が広がっていきました。私が読んだいくつかの本に共通して書かれていたことは以下のようなことでした。
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教員時代の実践記録(2012~20)
公立高校の教諭として勤めた8年間(2012.4〜2020.3)の記録です。授業実践やクラス運営における生徒たちとの関わりについて、自分が実…
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