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【本棚】日本書紀入門

来年は『日本書紀』編纂から1300年ということで、本屋で手に取った本を先日読み終えました。
『古事記』に関する書籍もいくつか読みましたが、上・中・下の3巻で構成されている『古事記』と比べて、30巻の『日本書紀』は分量もさることながら、公式文書なのでとっつきにくい印象があるためか、関連本が少ないです。
私も同じような理由で『日本書紀』に関しては中々手を出せていなかったのですが、今回「日本書紀入門」を読み終えて、改めて日本人にとって『日本書紀』というものが重要だということに気づかされました。

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「日本書紀入門」は竹田恒泰氏と久野潤氏の対談内容を文章にまとめた一冊で、口語で書かれているので非常に読みやすかったです。
他の『日本書紀』関連本とは違った視点での記述が多く、『日本書紀』に関してあらゆる面から考えることができます。
(例えば、世界に誇れるグローバル歴史書として『日本書紀』を捉えたり、現在の祝日と『日本書紀』の関連性に言及したり、東京オリンピックでの『日本書紀』の扱い方などなど。)

日本書紀について

奈良時代に成立した日本最古の歴史書。
正史である六国史の第一にあたる。
舎人親王らの撰で、養老四年(七二〇年)に完成。
神代から第四十一代・持統天皇の時代まで取り上げ、漢文・編年体にて記述される。
全三十巻。系図一巻が付随したが散逸。

『日本書紀』に書かれている内容については(神話の部分もありますし)事実か否か意見は分かれるところですが、本書によれば大事なのは『日本書紀』の内容を信じてきた人々が日本という国を作り上げてきた!ということなのだそうです。
日本は建国から王朝が交代していない世界唯一の国です。
世界各国に国史というものが公式文書として存在しますが、交代した王朝が前王朝のことを悪く貶めた記述を書いたり、逆に自分たちを賞賛するような記述を書いたりすることもあるそうです。
しかし日本は王朝の交代がないので、貶めたり賞賛する必要はなく、良いことも(文章には残したくないような)恥ずかしいことも、悪いことも素直に書かれているのだとか。
『日本書紀』が編纂された奈良時代から更に古い時代の記述に関しても、様々な記録を「一書曰(あるふみいわく)」と並列して載せることで、公式文書としての価値を高めています。(これは『古事記』にはないことです)

戦後教育で『古事記』や『日本書紀』は教育現場から遠ざけられた印象がありますが、来年の『日本書紀』編纂1300年を良い契機として、日本人の歴史感・宗教観、更には2000年以上も連綿と続いてきた私たち日本人とは一体どんな存在なのか?を改めて考える為にも、『古事記』『日本書紀』について学ぶ必要性を感じた一冊です。


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