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リプロダクトはもう買わない。

デザイナーとしての矜持。
とか言うと偉そうだけど、
やっぱりね、デザインをしている人や、
デザインの批評をするような人は、
リプロダクトは使っちゃダメだと思う。

若くて、まだ収入も少なくて、
でも名作イスがほしくてたまんないときは、
一度だけ。しょうがないとして。

でも、それに自分で後悔してほしい。
オリジナルに触れて、リプロダクトもよくできてるなあ、じゃなくて、
やっぱし、オリジナルじゃなきゃ、って思ってほしい。

と、自分の僅かなデザイナー人生を振り返って思った。

俺もイームズのシェルチェア、リプロダクト買ったなあ。
社会人1年目だか2年目だかのとき。
当時より今のがクオリティは高いんだろうけど、
家で仕事する時にちょっと使って、腰が痛くて、
すぐにオフィスチェアを買った。
それもすんごい安いやつ。
そんでそれは今でも使えている・・。

30過ぎたくらいに、
椅子好きの知り合いからアントチェア(本物)を譲ってもらった。
それを機会にちょいちょい椅子を買うようになって、
シェルチェアのロッキングチェアを買った。オリジナルを。
そしたらさ、座り心地が全然違うの、リプロダクトと。
すんごい快適、ってなことはないけど、
それでもおしりの収まり方が全然違くて驚いた。
本物買わなきゃダメだなーってそんときすごく思った。

その後も椅子は買ってるし、今もまだ手に入れたい名作がいくつもある。
けど最近は名作チェアではなくアンティークものを買うようになった。
ある意味、アノニマスなデザインを志向しているのかもしれないけど、
意外といい物が安い、というのもある。
材料もつくりもよくて、インテリア的な味わいがあるものもあるのに、
割と手頃に買える。
生地を張り替えてもらえば、愛着も割り増しだ。
民藝の価値観にも近いのかもしれない。

ある意味、
自分もアノニマスデザインに貢献している立場というのもあって、
名作チェアとは呼ばれないアンティークチェアに
共感しているのかもしれない。

リプロダクト買うくらいなら、そういうアンティークものを含めた、
名作とは呼ばれないけど良い物を探す(目や勘を鍛える)のも
我々デザイナーにはよい経験かも。
とか思います。

まあ、でも十分なお金があればウェグナーがほしい。
あと自分でデザインしてつくりたい。

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