『義理チョコは溶けるか』
私――尾崎真白には血の繋がっていない、義理の兄がいる。見た目こそ悪くないけど普段からだらしないというか能天気。服装にあまり頓着していないし、リビングで見かけるときはいつも縁側でくつろぐ老人のような雰囲気を醸し出している、そんな兄貴だ。
なにより情けなく感じるのは二月十四日、いわゆるバレンタインデー。私が中学に上がってバレンタインというイベントを認知してからというもの「誰からもチョコをもらえなかった」と露骨にアピールしてくるのだ。しかも挙句の果てには土下座で「誰からもチョ