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【考察】困難との向き合い方

 前回の記事「【考察】困難とは何か」では、困難の定義や種類、性質について考えていきました。

 本記事では、困難との向き合い方について先人の智恵から考察していきたいと思います。今回紹介する考え方を踏まえて生活していくことで、どのような気付きがあったかについては別の機会で書きたいと思います。

困難との向き合い方その1:難易度を調整する

 これは、チクセントミハイが唱えたフロー理論から学ぶことができます。彼は人が持てる力を最大限に発揮して、充足感を覚える瞬間をフロー状態として定義しました。

 カフェなどで仕事をしていても周りの音が気にならないで作業に没頭できた経験はありませんか?そのような最高潮にノッている状態(集中している状態)がフロー状態です。ちまたでは、ゾーンとも言われていますね。

 ネーミングやその状態のカッコよさからバスケット漫画『黒子のバスケ』では、ゾーンに入ると類まれ無い能力が発揮されるとして表現されています。

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 どこから投げても絶対にボールがゴールに入る能力だったり、相手の技を一度みたら完璧に模倣できるなど。チート級な技を発動できます。

 フロー状態(ゾーン)に入るために重要なことが挑戦と能力が釣り合っているということです。挑戦する物事の難易度が高すぎても強い不安を生み出し集中することができませんが、難易度が低すぎると退屈になります。

 自分の能力と困難の難易度のバランスが取れている状態、つまりほどよい緊張感を持ちながら臨める状態だとゾーンに入ることができるということです。
 これをわかりやすく示したのがこちらの図表です。

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 個人的には、スキルレベルの問題だけでなく問題への捉え方や姿勢もフロー状態に入りやすいかどうかを左右しているかと思います。なぜなら同じスキルで同じ困難に直面しても前向きに受け止められるかは人によって異なるからです。
 
 心理学者のキャロル・s・ドゥエック氏によると、挑戦を自分の能力の誇示する場として認識している”硬直したマインドセット”を持つ人は自分がうまくいくかどうかわからないことに直面するとやる気を無くしてしまいますが、困難とは自分の可能性を広げてくれるものであると捉えている”しなやかなマインドセット”の持ち主は不安を感じてもチャレンジすることを受け止めることができるそうです。

 困難とは突然降りかかるものであり、自分の手に負えないような大きなものが現れることがあるかもしれません。そんなときは、誰かの助けを得たり、少しずつ課題をクリアしていくように設定することで、自分が向き合う困難のレベルを調整していけるかもしれません。

困難との向き合い方その2:良い側面に気づく

 先程紹介したキャロル・s・ドゥエック氏の研究のように、困難に立ち向かうことは自分の可能性を広げるということを思い出すことが立ち向かう勇気をもたらしてくれるのではないでしょうか。

 前回の記事で困難とは何かについて書いた際にも紹介しましたが、過去の困難は今の自分が持つ大切な価値観や能力を育むことに繋がっているという側面があります。

 地方の産業機器メーカーで従業員20人未満の会社でありながら人工衛星やロケットの打ち上げを成し遂げた植松電機の植松努氏は、これからチャレンジをしてゆく人たちへ勇気の出るこのような言葉を残しています。

失敗した自分を、逃げた自分を、諦めた自分を責めないでください。
へこまないでください。そんなことする必要ないです。
でも、こんなとき自分の心の中は苦しいとか、つらいとか、申し訳ないとか、くやしいとか、悲しいとか、恥ずかしいがぐるんぐるんして大変なことになるんです。

でもこれがぐるんぐるんしてる最中は「ただいま成長中!」って言えばいいんです。

そしたら「ぷりっとひと皮むける」んです。だから、ぜひね「ただいま成長中!」って言ってみてください。

 困難に直面したときはうまくいくかどうかが気になり、不安になることがあると思います。そんなときは、たとえ失敗をしたとしても、逃げたとしても精神的には成長している過程なのかもしれません。同じく挑戦している人の大変な思いを共感してあげられる人に育っているのかもしれません。

 そういった困難の恩恵に光を当てることも困難との向き合えるようになる考え方なのではないでしょうか。

困難との向き合い方その3:受け入れる

 いや〜これが最も難しい方法ですね。これができるようになったら、困難を避けようとしてジタバタあがくのではなく、自分がやれることに集中して行動することができるようになると思います。

 この考え方は、心理学でいうアクセプタンスや受容と言われています。その人が置かれた現実の状況について、変化や抵抗しようとせずに、その過程や状況を理解しようとする姿のことを指します。

 また、これは哲学者のフリードリヒ・ニーチェで言う運命愛に相当し、この世のあるがままの運命を受け入れ、そしてそれを愛するということを言います。

 これについては、心理療法のACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)などの実践手法を試してみたりしてきましたが、なかなか一朝一夕では上手くいくものでもないですね。
 でも、これができた瞬間は怖いもの知らずに挑戦できるので、継続的にできるようにしたいですね。

まとめ

 困難との向き合い方について様々な本をヒントにして考えていきました。
 まだ噛み砕けていなかったので今回は詳しく紹介しませんでしたが、自分よりも大きな使命感のようなものや他者のために動くことが困難と向き合うときに大事な気がします。

 今後もアップデートされていくテーマだと思いますので、随時更新していきたいと思っています。

 皆さんは困難に対してどのように向き合われていますか?おすすめの方法がありましたら是非教えてください(^^)

■関連本
チクセントミハイを始めとする心理学者や哲学者の参考となる考え方が紹介されています。



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