集客活動の予算を確保するために
前回、「集客活動の自由度を上げるために、LTVを高めることが必要」という記事を書きました。
「成約単価=成約させるためにいくら予算を使えるのか」は、抑えておくべき重要なポイントのひとつです。軌道に乗り始めた事業フェーズで、利益より集客予算がオーバーしていては、成約すればするほど赤字が増える収益構造になってしまうからです。
そして、1件あたりの取引の収益が増せば増すほど、成約単価を上げることができるので、集客活動の自由度が増し、より大きい規模の施策を展開することが可能になります。
LTVの高め方について、「事例に学ぶBtoBマーケティングの戦略と実践」という書籍でわかりやすく紹介されていたので、その中から特に私が過去の経験から大事だと思ったポイントをご紹介できればと思いますが、その前にLTVの構造を理解しておく必要があるのでご説明したいと思います。
LTVの構成要素
LTVは、以下のもので構成されます。
平均購買単価 × 継続購買期間 or 平均購買頻度
上記からわかるように、以下に購買単価を上げるか、購買期間を長くするか、購買頻度を高めるかが注力ポイントになります。
平均購買単価を上げるには
提供価値向上に合わせて値上げする
サービスや機能追加など、価値が上がった分、料金を上げるというものです。一見わかりやすい策ではありますが、顧客が本当に価値を感じたものでなければ、逆に離反を招くので注意が必要です。中堅・大手企業を対象にする
中堅・大手企業は、規模が大きい事業を展開していることが多いため、予算額も大きくなる傾向があります。エンタープライズプランなど、彼らのビジネスにマッチしたサービス、プランを用意することで、単価を上げることが可能になります。アップセル・クロスセル
既存客に対して、プランアップをしていただいたり、自社の他サービスをご利用いただく方法です。個人的にはすぐ実行できて、効果が期待できる方法だと思います。
顧客の業界、規模、部署、担当者のポジション、契約サービス、グリップ度合いなど、顧客情報の整備がされていると、最も成約しやすく、全体の単価を高めることにつながるセグメントから取り掛かるなど、効率よく進めることが可能です。
平均購買頻度を高めるには
アップセルクロスセル
前述3のとおりです。例えば、大企業だと複数部署での契約が考えられるので、他部署を開拓することで現在契約しているサービスに加え、新しい契約を増やしていくなどが考えられます。CRM強化
こちらも前述3のとおりですが、顧客情報の濃度を高めることで、アップセルクロスセル率が高い企業の特徴などが見えてくる可能性があります。
見えてきたら、そのセグメントから営業リソースを集中するなど、効率良い展開ができるようになります。
購買期間を長くする
オンボーディング
サポートを行うことで有料転換率を上げる方法です。
例えば、無料ダウンロードから有償プランへ切り替えるビジネスモデルなのであれば、利用開始までのサポートを伴走で行うことによって転換率を高める可能性があります。長い契約期間を設定
BtoBビジネスではよく見かけますが、最低利用期間を半年、1年にするなどが上げられます。中堅・大手企業を対象にする
予算額同様に、中堅・大手企業は、稟議の仕組みからなのか、契約期間が長くなる傾向が見られるので、半年・1年の設定はさほど違和感なく且つ、チャーンレートを低減する働きがあります。解約率の低いセグメントに集中する
顧客情報から、解約率の低い業界、規模、部署など傾向が見えれば、そのセグメントを中心とした獲得に集中することで、全体の利用期間を引き延ばすことが可能になります。顧客の業務に深く入り込む
営業、カスタマーサクセス担当が、顧客にとってなくてはならない存在になることで、情緒的に解約の検討機会を減らすことになります。
営業担当が「1言えば10わかる」「顧客企業の歴史、人間関係を理解している」などがあります。
個人的には、このパターンが最も顕著に利用期間が長い傾向が見られます。ただし、営業担当の個人に依存したものになることが多いので、個人に依存しない仕組みをいかに作るかがポイントになると思います。スイッチングコストがかかる仕組みにする
特にプラットフォーム系のサービスがこれにあたりますが、他社サービスに移行するとなった場合、さまざまな手間とコストが発生します。
例えば、データ移行工数、使い慣れていたUIから新しいUIに変わるストレス、利用する社員への説明と操作サポート、マニュアル作成など、サービス利用料金以外にもこういった手間と工数が発生します。
契約担当はこういった業務が増えれば増えるほど、解約を検討しにくくなります。
以上がLTVを高める方法です。
サービス特性関係なく、すぐできそうなのはアップセルクロスセルだと思います。営業担当同士で紹介し合うところから始めるので問題ないと思いますが、前述のとおり、CRMがあると、より効率の良いやり方ができるので、基盤整備を行い、普段から顧客情報を蓄積する方法を検討されても良いかと思います。
取引価値を高めること
CVRやCPAを下げることも大事ですが、中長期的に骨太なビジネスにするためには取引価値を高めることが大事だとこの本では紹介されています。
広告の指標を改善するのは短期的な施しにすぎず、いつか限界がきます。
顧客から長く愛されるサービスを目指すことが、コモディティ化を防ぎ、価格競争に巻き込まれず、特定の顧客から支持を受け続け、結果的にLTVを高めることにつながるからです。
とても難しいことですが、マーケティング担当として、集客のほうばかりに気を取られず、顧客との対話からヒントを得て、プロダクト価値を高める活動にも注力するよう努めたいと思いました。
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