林に分け入り 1本の樹をみる

ごつごつとした表面に 手をはわせる

清潔とはいえないが いやなものではない

耳をそっとあててみる

柔らかな肉びらが 樹の曲面にそって形をかえる

硬くてもろい心地がする

音は なにもきこえない


しばらくしてから

首を曲げてはなそうとするが 

どういうわけか

はなれない


両手でつっぱねようとする

だめだ

両手もはなれなくなった


どういうつもりだろうか

どういうつもりもないだろうか


幾年がたつも 林にいる

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吉村トチオ
最後まで読んでくれてありがとー