火
2つがあった
2つは1つと1つになり 憎しみを以て対立した
乙は憎まれ 甲は憎んだ
憎み憎まれの末 乙は火となった
乙は手あたりしだいに焼き尽くし 甲を滅ぼそうとした
その企ては しかし うまくはいかず
他の因果で 甲は消えた
火となった乙は しかし 存在をつづけた
彼は 甲の子供たちを ねらうことにした
時は流れ 子供たちは 沢山となった
いまだ憎しみはおさまらぬ
リビングルームのテーブル
幸福なケーキの上の蝋燭に
彼が灯される
ゆらゆらと怒りに震える 真赤な牙が 幼な子に向けられる
幼な子は 恐怖をおぼえて しかし 勇敢に息をふきかける
うらめしそうに 彼は 消えた
だれにも気づかれず 怨嗟の声がひびき すぐに消えた
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