東京レインボープライド2020 1日目
東京レインボープライドが幕を開けた。
東京レインボープライドは、LGBTを中心に多様性を認めていくイベント。今年はオンラインでの実施となった。
今回のテーマは、「Your Happiness is My Happiness」ということで、「あなたの幸せが私の幸せ」という、個人の幸せから一歩進んだテーマとなっている。LGBTにとって、これは大きな一歩だと思う。まずは、自分の幸せを望むまでに時間がかかると思うからだ。自分が幸せになっていいのか信じられない、自分の幸せな姿が想像できない。でも、誰かが幸せでいることで、幸せを感じることもあるだろう。そこから、自分の幸せに結びつくかもしれない。LGBTにとって、幸せな当事者の姿は、最も勇気づけられるものの一つではないだろうか。
さて、4月25日(土)はオンライントークの1日目だった。
■参加方法
4月25日(土) 14:00~18:00
4月26日(日) 12:00~16:00(オンラインパレード開催)
東京レインボープライド 公式ツイッターより配信
■司会者 ブルボンヌ、阿部 知代(26日のみ)、杉山文野、山田なつみ
■ゲスト
・4月25日(土)
秋元才加、⼄武洋匡、さかいゆう、為末⼤、天道清貴、中村 中、八方不美人(エスムラルダ)、広海深海、古⽥大輔(メディアコラボ代表)、ミッツ・マングローブ、MEGUMI ※五十音順
・4月26日(日)
菅大介(チェリオコーポレーション)、長谷部健(渋谷区長)、MISIA、水原希子、りゅうちぇる ※五十音順
今回こそは現地に足を運びたいと思っていたが、中止となり残念に思っていた。しかし、結果的にはオンライン上で多くの人が楽しめる形で実施していただけたことに、感謝したい。
トークゲストがとても豪華で、4時間全く飽きることなく視聴することができた。それぞれ約20分の時間ずつの登場で、様々な話を聞かせてくれた。
当事者だけでなく、アライの方々(LGBTへの理解者、支援者、応援団)の参加があることも、とても興味深い。当事者と一口に言っても、様々なセクシャリティがある中で簡単にはくくれないが、アライという言葉も、いまひとつイメージしづらい言葉じゃないかと思う。
為末さんのように、まだまだオープンにしづらい空気のあるスポーツ業界で応援してくれる人もいれば、秋元さんのように身近に多様なセクシャリティが自然にあった人もいる。いずれにせよ、アライの形も、多様であっていいはずだし、もっとオープンにしていけたらと思う。
トークの合間のCMもとても良かった。LGBT向けのサービスや、多様性へのメッセージのこもったCM。テレビCMやYouTubeのCMでも、もっと採用してほしい。未だに、国際的な企業のCMでも、海外向けはダイバーシティ対応型なのに、日本向けだけ古典的家族制度をイメージしたものになっていることがある。日本のCMでも、もっとさらっといろんな家族やパートナーシップを喚起させてほしい。せっかく消費者層はあるのだから。
著名人や日本各地のLGBT支援団体からのメッセージも良かった。日本各地で活動していることがイメージできたし、活動も続いている様子がわかったからだ。
特に印象に残ったのが、乙武さんのお話しだ。乙武さんは、仕事、教育、食事について話して下さった。これらは、今変化を余儀なくされている。それが、かねてから障害者にとってのハードルになっていた。それが、新型コロナ対策として変化したとき、結果的にハードルが下がった。この状態が、新型コロナの危機が去った時にも、維持されてほしい、という内容だと解釈した。誤解があると申し訳ないので、同じような内容について触れているnoteをご紹介しておく。
思えば、自然災害の時にも、こういったハードルや、日常に隠れていた差別が顕在化された。障害者や高齢者、外国人やLGBT、闘病している人の抱えている問題や、差別意識がはっきりと表面化された。また、政治に対する関心が高まるのも、このような時だと思う。政府の一挙手一投足が注目されている。
こんな時こそ、隠れていた問題に向かい合う機会だと思う。トークゲストとして登場した方々は、当事者もアライも、身近にLGBTが当たり前に存在する世界で生きている。でも、世の中には、まだまだ当事者もアライも未知の存在だと感じている人がたくさんいる。特にその中でも、当事者かもしれない、セクシャリティにゆらぎがある人達にとって、その存在を知ることはとても大切なことだと思う。
そう考えると、今必要なのは、まさに「パレード」だと思う。多くの人の目に触れて、「私はここにいる!」と叫ぶこと。そこでその存在を知ることが、どれだけの人を救うことになるか。
それは、LGBTだけではない。辛い思いをしている、高齢者も子どもも、会社員もフリーランスも、障害者も健常者も、外国人も日本人も、アニオタもジャニオタも、自分と共感できる人がこの世界にはたくさんいる事を知るだけで、世界が変わる。
だから今、世界に自分と重なる人がいることを知ってもらうために、パレードをするべきなのだ。それは、炭坑労働者とレズビアン、ゲイが連帯してパレードをしたように。
そしてパレードは、苦しみを訴える場だけではない。むしろ、幸せであることを見せつける場だ。自分達は、幸せなんだ、喜びもたくさんあるのだ、と。
どんな人にだって、幸せでいる権利はある。この新型コロナの渦の中にあっても。むしろ、この渦の中だからこそ、幸せでいることを大事にしたい。そんな思いで、2日目のトーク、そしてオンラインパレードを見つめていきたい。
ハッピープライド!