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ブルグミュラーを練習しようと思う

僕がピアノを弾き始めたのは、小学生の時だ。

まずはキーボードがあったから、そのキーボードの参考演奏を耳で覚えて、それを弾き始めたのがきっかけだった。確か渚のアデリーヌだったと思う。

それからしばらくして、雑誌の付録で花のワルツを覚えた。その雑誌は CD に冊子がついてくるというものだった。その第一号がチャイコフスキーの特集で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、そしてくるみ割り人形などが入っていた。

そして楽譜として花のワルツが添えられていた。とても簡単な楽譜なんだけれども、初めて楽譜をピアノでやってみたのが、その曲だった。

ピアノで演奏するためには指番号というものが大事になる。特に初心者にとっては、それでどのように指がこんがらがらずに弾けるようになるのかわかる。

初めてそれが弾けるようになった時、ピアノを習っていた友達から、それを披露した時に、指番号までしっかりできるねと褒められたのを、今でも覚えている。

そして中学校に入る前に、エーデルワイスを覚えた。エーデルワイスは確か小学校のリコーダーで吹けたんだと思う。

その時に上のパートと下のパートがあって、それをピアノで両方同時に弾いたのだ。

なので中学校の時までに3曲ほどのレパートリーがあったことになる。それからはピアノで弾けるようになった曲が、何曲かあったと思う。

高校に入って、音大に行くためにピアノを習い始めた。確か高校2年生。ピアノを弾けると言っても、ほんの少しだったから、今考えると無茶だったとは思う。

それでも習い始めて、まずはハノンそしてチェルニーをやり始めた。今まではレッスンに通っていない高校生で、しかも音大を目指そうというのだから、バイエル等は飛ばしたのかもしれない。

そのうちバッハの簡単な曲から始まり2声の曲くらいでまで触った。でもどれもほんの少しずつ触ったくらいで、ちゃんと弾けるようになった曲といえばバッハが作曲(したと言われている)メヌエットくらいだ。

当然音大なんて挫折したが、ピアノの基礎を学べたのは良かった。

大学ではコードでの伴奏付けを勉強した。また、ずっと弾きたかったトロイメライを試験で挑戦した。

こうして少しずつ自分のレパートリーを増やしていった。こう見てくると随分と色々な所をすっ飛ばしてしまっている。

小さい頃からピアノを勉強してる人たちと比べると、レパートリーが圧倒的に少ないし、もっと基本的な教本をやっていないことが分かる。

その中の一つであるブルグミュラーに、今取り組んでいる。いや取り組んでいるというのは言い過ぎで、少し曲をさらい始めた。

ブルグミュラーを取り組むきっかけになったのは、反田恭平さんの演奏だった。

noteで全曲を演奏してくれていた。初心者向けの曲集だという認識があったから、改めて聞くととても成熟した曲ばかりで驚いた。

実際に楽譜を見てみると、簡単には見えるが(もちろん自分にとっては簡単に弾ける曲ではないんだけれども)魅力的な曲ばかりだった。

もしこの曲を全曲弾けたら楽しいだろうなと思ったし、音楽的にも広がりができるんじゃないかと思った。

また、自分一人でも曲に取り組めるような気もしていた。

そこですぐにでも練習を始めたかったのだが、楽譜を買ってから数ヶ月が経ってしまった。そして今やっと1曲めからさらい直している。

このような楽譜を丁寧に演奏するというのは、とても楽しい。決して譜読みが得意ではないので、たどたどしいながらも一個一個指を確認しながら、音を探っていく。

子供のような気持ちで、一つ一つの音に向き合っていく。最近は弾き語りが多くて、コードをとらえていくのに忙しく、一つ一つの音に気を配るなんていうことをおろそかにしていたから、一つ一つの音を大事にするというその行為自体が、とても楽しく思えている。

1曲目よりは2曲めのアラベスクの方が有名だから、早くそれに向かいたい気持ちもあるけれども、そこは押さえて、一曲目から丁寧に暗譜するくらいまで練習したいと思っている。

そんな風に丁寧に練習するなんて随分と久しぶりだ。この時間を楽しみたい。

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吉村ジョナサン(作家)
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