いつも隣にいてくれる、あたたかい友情【ごはんの友】
ひんやりしたものが多くなる夏は、お腹の中からやさしくいたわってくれる。あたたかいものが恋しくなる冬は、全力でぬくもりを届けてくれる。
いつも隣にいる、あたたかい存在。それは、みそ汁。
我が家では、麺類の日以外は、何らかの汁物を食卓に並べます。そのほとんどが、みそ汁です。焼肉の日も、麻婆豆腐の日も、カレーの日も。
子どもたちが小さい頃から習慣になっていて、どんな具でも文句を言わず当たり前のように食べてくれるのが嬉しい。だから、量が少なくても、なるべく野菜の種類を多くしたいと考えながら、みそ汁を作っています。
僕が作ることも多いけど、結婚当初からそうだったわけではありません。きっかけは、妻の会社帰りが遅くなる日が続いて、妻がメインのおかずを、僕がスープを作るようになったことでした。今は高校生の長男が、まだ小学校低学年だった頃。次男も幼く、三男はまだ生まれる前。
最初の頃は、タマネギ、ウインナーに、固形のコンソメを使ったコンソメスープ系が多かったです。材料を切って、スープの素と一緒にお湯に入れたら完成するので、水の量さえ間違えなければ失敗することはありません。料理が苦手な僕でも立派なスープができた!と、満足していました。
そのうちに、妻に教えてもらって、みそ汁を作るようになりました。タマネギ、じゃがいも、里芋、しめじ、人参、大根、キャベツ、など、その時ある野菜を数種類と、あげ、豆腐を入れたものが定番です。甘めが好きなので、白みそで仕上げます。
僕が好きな具は、里芋。お義母さんが畑で作ってくれる里芋は、粘りけが強くてとってもおいしい。包丁で切るときから、おいしさが伝わってくる気がします。
当時はSNSで投稿もしていて、さかのぼって確認してみると、最初に投稿したのは2012年10月でした。。パパがやることに意味があると感じて名付けたのが、『パパスープ』。その時の気持ちを、引っぱり出してみます。
僕が家庭で作っているものがあります。
「パパスープ」です。
あえてスープにこだわって作ってきました。
でも、本当は、作っているのはスープではありません。僕が作っているのは、家族の食卓。
最近は、料理を作るパパも増えています。もしかすると、もともと作っていたのが表面に出てきているだけかもしれません。SNSの効果でもあると思います。
「パパも家事・育児に取り組めないといけないよ」といった風潮がある現代。
女性も男性もバリバリ働けるので、夫婦のうちでどちらか出来る方が家事をする、料理をする。家庭の中でそういう土台を作っておくと、お互いに働く幅が広がるし、イザというとき困りません。
僕も、そこは是非とも取り組んでもらいたいと思っています。
と同時に、「自分が作った料理を子どもたちに食べてもらいたい」と思っているママもいます。妻がそうでした。
妻は、職場のチームの中で唯一の女性で、出産後に育児休業を経て職場復帰した第一号。今後の『女性も働きやすい職場づくり』を目指して、制度を検討する会議に参加して残業が続いた時期がありました。
その頃は僕の方が仕事を比較的調整しやすかったので、家事をする量を増やしながら対応しました。
でも妻は、葛藤を抱いていました。
「会社の中で役割を担って仕事をしたい。」
「でも、家庭のこともおろそかにはしたくない。」
食事のこともすごく気にしていて、『夕食の準備や下ごしらえを事前にやって、あとは食べる時に仕上げるだけ』というやり方をずっと続けていました。「自分が作った料理を子どもたちに食べてもらいたい」と思いながら。とは言っても、時間的に厳しくて、メインだけしか用意できない時もありました。
だったら、妻の想いを尊重しつつ少しでも負担が軽くなるように、そして子どもたちの食事が充実するように、僕がスープを作ればいい。そうやって生まれたのが『パパスープ』です。
続けているうちに、あることに気づきました。
『夫婦で作った家族の食卓』で、子どもたちは両親の料理を食べている。
夫婦でできること、家族でできること、その家庭によって違ってくると思います。まだ料理に取り組んだことのない人にとっては、「簡単なスープなら作れるぞ」と、思ってもらえるかもしれません。
なにができるかを話す。ちょっとでもいいからやってみる。
パパスープが、そんなきっかけ作りになると嬉しいです。
<2012年10月の投稿より>
我が家のごはんに欠かせない友、みそ汁。
ごくたまに、子どもが作ってくれることもあります。
小5の次男が、家庭科の宿題でみそ汁を作らなきゃと言っていたので、この週末にその機会が訪れるかもしれません。楽しみです。
◇
毎週テーマを決めて共同運営を続ける日刊マガジン『書くンジャーズ』。
今週のテーマは、【 ごはんの友 】でした。
これから寒くなる季節、あたたかいみそ汁と共に過ごしていきたいと思っているのは、土曜日担当の吉村伊織(よしむらいおり)です。
今日も最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
メンバーたちはどんな【ごはんの友】で食卓を彩っているのか、ぜひ覗いてみてください。お腹が鳴るかも?
それではまた、お会いしましょう。