深める
同じ問いを何度も問い返す。
特に、答えがない問いを考えてみる。
社会的論争問題に取り組んでみる。
効率性や模範解答を求める現代社会では、不毛な時間となりそうだ。
考えを広げるか、考えを深めるか。
たくさん知っている方が良いという考え方も、もちろん一理ある。
一方で、物凄く深い思考も重要な能力だと言えるだろう。
思考というものは見えにくい。
知識は見えやすい。
出てくる言葉の数々から知識の量を推し量れる。
しかし、深い洞察に基づく言葉は、聞いている側の見識次第ではその深さを評価できないということも起こってくる。
そして、どれだけ大量の知識があっても、一つの問いを徹底的に追究し、あらゆる角度から検討する思考ももう片方では持っておく必要がある。
そうでなければ、知識を有効に使えはしない。
芯のない話が展開されるのみであろう。
人は知識にも思考力にも、どちらにも感動できるだろう。
知識の勝負ではないと考える人からは、思考力の深さを追究している節が窺われる。
一方で、思考力の勝負ではないという人からは、際限なく知識の世界を広げていき、まとまりが失われていく。
広がりを収斂させるには、軸が必要になってくる。
軸を提供するのが、視点であり、思考力だ。
問いを繰り返し、考えることは不毛な勝負ではない。
自分の回答を塗り替える経験を何度もした時、粘り強く考えることの大切さを知るだろう。