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観点別評価って?  基本

2020年から2021年にかけ、校内研修で「学習評価」について話してほしいというご依頼をいただくことがありました。
ICTの研修依頼をいただくことが多い時期でしたが、私立、公立を問わず中学校と高校からご相談がありました。
2021年に中学校で観点別評価の観点が変わり、2022年から高校でも観点別評価が始まるからだと思います。

2021年の5月、市内の公立中学校で研修をした時の話です。
僕は、評価は学校の意思表示だと思っています。
基本的に観点ごとに重みづけはしません。
もし、重みをつけるなら、学校が何を大事にするのかをじっくりと話し合う必要があります。
また、観点内でも、考査と平常点の割合、評価材料の数などは、学校の意思表示になります。
だから、評価の規定は教務の先生だけでなく、数値の話でもなく、
「自分たちの学校が何を育てようとしているのか」を全員で話し合いながら決める必要があります。
研修では、どのように指導と評価を対応させていくのか、そもそも評価とは何のために行うのかなどをお話ししながら、実施校の先生方で話し合うきっかけづくりの時間となるよう心がけました。

具体的には

  • 評価の目的

  • 評価の種類(診断的評価・形成的評価・総括的評価)

  • パフォーマンス課題とルーブリック

  • 観点の重みと学校の意志

  • 自分の中学校で今後重視していく観点

について話し、先生方にも話し合っていただきました。

その日の資料はこちら

学習指導要領の改訂にともない、評価の観点は

  • 知識・技能

  • 思考・判断・表現

  • 主体的に学習に取り組む態度

の3つに変わりました。
以前の観点別評価と大きく異なるのは「主体的に学習に取り組む態度」です。
「関心・意欲・態度」と見た目は似ていますが、私は凄く画期的な改訂だと思っています。

観点の文言を変えるふりをして、
「授業のやり方を変えろ!」
と言っている気がします。
日本中の先生の授業のやり方に対して指導が入ったのだと解釈しています。

ジャンプ力を評価するためには、ジャンプしないと始まりません。
つまり、
「主体的に学習に取り組む」機会を授業中に作らないと評価のしようがない
ということです。
一斉講義や教師の指示通りの活動ではなかなか評価は難しいでしょう。

以前、日本の教育スタンダードである「学習指導要領」はできるようになるべきことを示した「内容スタンダード」であり、やるべきことを示す「行動スタンダード」ではないと何かの本で読みました。
それは、戦前、戦中の教育統制からの教訓、「教え子を二度と戦場に送るな」という反省から、教育の「やり方」を教師個人の良心に任せようとして始まったという話でした。(文部科学省が出した文献ではなかったので真偽は定かではありません)

学習指導要領において「やり方」が規定されるのは比較的珍しいことです。
今回の観点の改訂は、観点の話に限らず、
「主体的に学習に取り組む」機会を授業中に作る
ことが前提になっていると思います。
表面上は観点の話ですが、中身は「やり方」の規定だと思います。
文科省の凄い意気込みを感じているのは僕だけでしょうか?

「主体的に学習に取り組む」機会のある授業、単元をどう開発していくかが私たちに問われています。
これについては、別の学校で詳しく研修をしたので、別の機会にまとめます。

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