ジェンダーレスについて①
先日、とある飲食チェーン店が、自社の店舗で用いるスタッフの制服について、「自信をもって接客してもらいたい」との思いから、男女兼用のジェンダーレスな制服を発表しました。
帽子やシャツなど、アイテムを色や形が違う種類をいくつか採用し、スタッフ自身が自分のスタイルに合ったものを選ぶことができるようです。
また、最近では学校の制服にも「ジェンダーレス」が広がっているようです。
本日は、これからますます広がっていくであろう「ジェンダーレス」について取り上げます。
ジェンダーレスとは?
まずは、「ジェンダーレス」という言葉の定義についてご紹介します。
よく似た言葉に「ジェンダーフリー」がありますが、その違いについても言及できればと思います。
SDGsには、5番目に「ジェンダー平等を実現しよう」と掲げられており、性別のに違いによって不平等にならない社会、特に女性の社会進出や教育格差などが出ない社会をつくることを目指しています。
2022年7月、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)がいわゆる「ジェンダーギャップ指数」(The Global Gender Gap Report 2022)を公表しましたが、今年の日本の総合スコアは0.650、順位は146か国中116位(前回は156か国中120位)という結果になりました。
ちなみに、このジェンダーギャップ指数というのは、「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示しています。
日本の数値は、前回と比べてスコア・順位ともにほぼ横ばいとなっており、先進国の中で最低レベル、アジアにおいても韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となりました。
参考資料:男女共同参画局
日本の女性の社会進出は、まだまだ進んでいないことがうかがえます。
ジェンダーレスとは、男女間における区別や性差の境界線をなくすことや、「男性」・「女性」といった概念そのものを取り払おうという考え方を表しています。
つまり、「男子生徒の制服は必ずパンツ(スラックス)で、女子生徒必ずスカート」とか、「男の子の持ち物は青色、女の子の持ち物はピンク」といった強固な思い込みにも似た区別をなくしていくのがジェンダーレスというわけです。
一方、ジェンダーフリーとは、日本では性による社会的・文化的差別をなくすことを意味して使われています。
具体的には、社会的・文化的に「女性なのだから●●をしなければならない」といった性差による押し付けから自由になる(自由=フリー)という意味の言葉で、「女性だから家事や食事の用意や育児をする」というこを、男性にも開放するというわけです。
ジェンダーレスとファッション
このジェンダーレスは、ファッションとの親和性が高いようです。
やはり、ファッションは着る人の心を表す、ということなのでしょうか?
最近、「ジェンダーレス男子」「ジェンダーレス女子」と銘打って活動しているファッションモデルやインフルエンサーがいることをご存じでしょうか?
ファッション業界では、近年男女の境界線がないスタイルやアイテムが発表され、芸能人でも男性タレントがネイルを楽しんだり、スカートをはく男性がいたり、女性でもナチュラルメイクでショートカットスタイルの方などがいるようです。
このようなジェンダーレスな装いは、特に若い世代に浸透しつつあるようで、社会的・文化的に区別された性別にとらわれず、自分らしさを貫いているモデルやタレント、インフルエンサーたちにも注目が集まっています。
ファッションの流行とは、「人と同じが嫌だ」という初期衝動から発し、「人と同じがいい」という考えが育んで徐々に一時の流行りが定着していくのだとすると、このジェンダーレスという考え方も、今は若者を中心に浸透していますが、様々なアイテムが考案されたり発表されていく中で、広い世代に広がっていくのではないでしょうか?
次回は、ジェンダーレス社会の実現に向けた取り組みなどについてご紹介します。
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