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子犬のトレーニング

Karen Pryor Academy ライブエピソード#7では、カレン・プライヤー・アカデミーの教師でもあるスコッティ・ハービー(Scotti Harvey)が子犬のトレーニングについて語りました。

スコッティ・ハービー(Scotti Harvey)Why Runamuck(アイスランディックシープドッグ繁殖/アニマルトレーニング施設)の創設者であり、カーデン・カントリー・スクール(小学校)の共同創設者であり、幼稚園の先生でもあります。カレン・プライヤー・アカデミーの卒業生であるスコッティは、認定トレーニングパートナー、Puppy Start Rightプログラムの卒業生、そしてFear Free認定トレーナーでもあります。

アイスランディックシープドッグの魅力

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スコッティはアイスランディックシープドッグのブリーダーでもあり、その魅力を語っています。

そもそもこの犬種を繁殖しているブリーダーは少なく、小さなコミュニティとして国際的にブリーダーの横繋がりがしっかりしています。ほぼ、スカンジナビア半島に集中しているのですが、お互いに情報をシェアすることで、種の保護を的確に行っています。

犬の特徴は、全天候性で、しっかりしており、あまりグルーミングを必要とせず匂いほとんどしません。そのダブルコートは柔らかく、手触りは素晴らしく、犬も触れられることを喜んでくれます。他のシープドッグと違って、家の中で人間と生活する犬で、人間とのふれあいを喜んでくれる犬種なのです。

子犬のトレーニングの目的と開始時期

スコッティはトレーナーでもあるので、生まれてきた子犬が生涯の飼い主の元に行くまでのトレーニングを担っています。子犬のトレーニングはかなり早くから始め、その目的は終のすみかとなる飼い主の家に引っ越した後に受ける新しい刺激に対して耐久性を持つように、柔軟で回復力に満ちた子犬に育てることを目的としています。

成功体験を積む重要性

子犬が新しい環境で生活し始める時は、多くのストレスがかかります。新しい匂い、見知らぬモノ、子犬が慣れ育ったものからすっかり切り離されて感じる孤独感。それを埋めるようにすがりついて来る子犬に対して、飛びつかないで!というのが子犬との関係の始まりという飼い主さんは少なくありません。

望まない行動をとってしまう子犬を叱ってしまいがちです。そうならないためにも、子犬の社会化では沢山のポジティブな経験と、新しい事に出くわしても落ち着いて柔軟に接することができるようにトレーニングを積んでいきます。

スコットはそんな柔軟な子犬を育てるには、子犬が望ましくない行動を学んでしまわないように、罰する事なくトレーニングする事が重要であると述べています。

初めての強化子とその与え方

子犬の一番最初に強化子は「撫でる」こと。子犬はふれあいを好み、その感触を強化子に使うことができます。ただしスコットは子犬のトレーニングクラスで、まず子犬に触れる前に自分の腕に触れてその感触をハンドラー自身が体験するところから始めています。腕に自分の手のひらを当てて、その体温を感じてみる。その体温がそのまま子犬が感じるものになるからです。それからゆっくり上下し腕を撫でてみてその感触を確かめます。手の動きの速度、圧力、自分が感じているものがこれから触ろうとする子犬が感じるものであり、自分が何を子犬に与えているのがしっかり自覚して子犬を触ることが大事になります。

フード強化子の与え方

子犬に食べ物を与える時も、スコットはとてもきめ細やかな子犬の成長と人との関係を加味したトレーニングを施します。

まずは子犬がかつて上を向いて母犬のミルクを探し当てていたところから、今度は下を向いて食べ物を探すことへの移行をスムーズにするために、まず子犬を小さな部屋に連れていき、床に置かれた食べ物を見つけてもらうところから始めます。広さ的には、お風呂場くらいがちょうどいいでしょうと彼女は語っています。あまり広すぎると迷ってしまって食べ物にたどり着けないし、狭すぎても十分な探索行動ができません。

強化子(褒美)として食べ物を与えるときも、手からではなく、床に置いてそれを指差して与えます。そうすることで、子犬が食べ物を見て興奮し指や手にかぶりついてしまうのを防ぎ、食べ物が必ず床に置かれることを理解することでと飛びつく必要もなくなります。

基本練習

スコッティは3つの基本トレーニングを推奨しています。

1 キャリーバッグに入る
2 プラットフォームに乗る
3 輪に頭を通す

1 キャリーバッグに入る
キャリーバッグは子犬を運ぶのに欠かせないものなのです。側面も上部も大きく開き、自由に出入りできるものがいいでしょう。子犬がキャリーバッグに自ら入り、その行動が十分に強化されたら、ジッパーを開けたり閉めたりしその音や振動を感じてもらいます。ここでも少しづつ楽しい経験のみを積み上げていくことが大切です。

2 プラットフォームに乗る
次に子犬が簡単に自分から乗れる低い安定したプラットフォームを用意し、興味をもって接してもらいます。プラットフォームに安定して乗れることは、生涯を通じてあらゆる行動の基礎となります。

3 輪に頭を通す
スコッティは子犬が簡単に頭を通せるプラスティック製の輪を用意し、その輪に子犬が自ら頭を通す練習をしています。もちろん初めは興味を持って見るところから。そして近づいて行く、と本当にきめ細やかなステップを踏みます。すべてが成功体験であり、押し付けがましいトレーニングは一切しません。もうお分かりのように、この輪に頭を通す練習は、のちに首輪やハーネス、そしてエリザベスカラーを装着する時に役に立ちます。

犬のオーナーになるべき人とは

ブリーダーでありトレーナーでもあるスコッティに寄せられた質問

もし基本のトレーニングを済ませた後、それ以上のトレーニングを継続する意思のない人にも子犬を譲渡しますか?

優秀なトレーナーである彼女が、それほどトレーニングに重きを置いていない未来の飼い主にも彼女が育て上げた子犬を譲ることが出来るのか?彼女を知る人なら感じる素朴な疑問でしょう。

それに対して彼女は答えています。

トレーニングをするしないが大事なのではなく、これからその犬がどのような環境で暮らしていくかが重要になってきます。犬と一緒に山を登るのが趣味のある飼い主は、それほどドッグトレーニングには興味なくても、犬はその飼い主と生活することで素晴らしい経験を得ることができます。ある飼い主は農場の持ち主で、こちらも素晴らしい生活環境であることに間違いありません。つまり犬のオーナーはどんなトレーニングを提供できるかではなく、どんな環境を提供できるかで犬の生活は変わってきます。 

日本での取り組み

正の強化(R+)を使ったきめ細やかな動物トレーニングは、日本ではまだまだよく知られていません。最近は「誉めて育てましょう」とか「叱らないトレーニング」と紹介されることもありますが、その内容は貧弱で正しく遂行されていない事が多いのが現状です。

もうお分かりのように、正の強化を使ったトレーニングの基本理論は至ってシンプルで誰もが素晴らしいと共感できるものですが、実際にそれをトレーニングに組み込み実行するには高度な技術と豊富な経験を必要とします。

R+のドッグトレーナー/インストラクターをお探しの方は下記にリンクご参考にしてください。

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