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嫌悪刺激を使う人への説明方法

正の強化を使ったトレーナーは動物のトレーニングのみに正の強化を使うのではありません。

嫌悪刺激を使う必要がない事をどうやって効果的に伝えることができますか?という質問へのケン・ラミレズの答えが素晴らしいのでここでご紹介します。

否定しない

嫌悪刺激は私たちの生活の一部なのです。誰しもが、嫌悪刺激を受けながら育ってきました。誰しもが、両親から、先生から、だめ!いけない!やめなさい!と言われた続けた経験を持っています。真実を申しますと、罰は機能するのです。罰が行動を減少させるのは疑いもない事実です。

実感できる例え話

しかし、それにもかかわらず、どうして嫌悪刺激を使わないかを説明する時、職場での様子を思い浮かべてください。職場で上司から、あなたの仕事を批判され、酷い仕事だとことあるごとに言われ続けたらあなたはどう思いますか?それでも仕事は続けますし、それなりに言われた通り改善し、それなりの仕事もするかもしれません。でもそんな状態で働く事を望みますか?仕事に行く事を心待ちにし楽しく仕事ができますか?上司の叱責であなたはより良い仕事をするようになったし、嫌悪刺激が機能することには疑問の余地はありません。しかし一旦人間関係のあり方に及ぶと、この状態では決していい関係は保てないでしょう。

機能するかどうかではなく良い関係を築く

批判をうけて自分のパフォーマンスが改善向上することはあります。しかしそれを楽しくできることはないでしょうし、批判をした人間と良い関係を保つのも難しいかもしれません。

嫌悪刺激に頼らないポジティブなアプローチならば、相互の関係はとても良好であり、動物は恐怖やストレスをほぼ感じる事なく学ぶことができます。

個々の価値観に合わせた説明

難しいのは、嫌悪刺激を使う人にそれが必要でないと納得してもらうには、その説明をその人の価値観に合った枠組みで説明しなくてはなりません。つまり説明を受ける側が理解できるように説明しなくてはなりません。

例えば、叱責されながらの仕事は楽しくないでしょうと聞いても、いや怒られたからこそ仕事のレベルが上がったんだと感じていたなら、その説明は功を成しません。そして、彼らのものの考え方は自分のそれとは全く違うことに気がつくでしょう。

それでも、それって本当に楽しいですか?心から好きでいられますか?と質問を投げかけることはできます。それが、犬がどのように感じているか、どのようにあなたを見ているかと言うことですと説明してみては如何でしょう。

ほとんどの人は、ペットから愛されたいと思っているし、ペットにはすばらしい経験をしてほしいと思っているし、幸せであって欲しいと思っています。そんな人たちに、嫌悪刺激は効果はあるが、お互いの関係にはけっして良い結果をもたらさない事を具体的に感じられる事例をあげて説明する必要があります。

まとめ

嫌悪刺激は機能しますが、関係を悪くし、犬の信頼を失うことになります。犬は嫌悪刺激にとても良く反応しますが、それは犬がとても柔軟な動物だからです。

嫌悪刺激を真っ向から否定しない、むしろ機能する方法と認めながらも、嫌悪刺激をつかわなくても良い方向に導こうとするケンの姿勢は、正の強化そのものだとわたしは感じています。




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