公認会計士がBig4監査法人を分析・比較してみたPart4-Deloitteトーマツ④-
前回は私が中を見てきた経験と人員構成推移から読み取れることから、監査法人志望の公認会計士受験生向けに考察をしました。
今回は、収益の時系列分析をもう少し掘り下げてみます。
公認会計士(Partner・公認会計士)の一人当たり換算の業務収入、人件費、粗利を時系列(2016年5月期は省略)でみてみます。
こんな感じです。CAGR(年平均成長率)でみてみると、
業務収入・・・18.92%
人件費・・・16.67%
粗利・・・18.56%
うーーん人件費伸びませんね。管理職が増えて、残業抑制に加え残業代をもらえる公認会計士が減少しているのでは、と考察できます。前回お話ししたように監査法人の業務の要である公認会計士が。監査業務を行う公認会計士は厳しい状況が続きそうです。
私が所属していた頃には、繁忙期の4−6月は定時が9時から19時の9時間勤務(通常は9時から17時の7時間勤務)となり、露骨な残業代抑制が実施されていて皆不満爆発していました。こちら、今現在所属している同期に聞いたところ現在は実施されていないようなので、今後入る試験合格者にとっても少し安心?です。
公認会計士の数が減れば、試験合格者たる入社を希望する若手にもチャンスがあるのでは、と考えるかも知れません。当然の推論です。しかし、私個人の意見としては、それは非常に難しい環境の法人であると言わざるを得ません。上下関係のはっきりした社風も影響している面もありますが、大きいのは任せられる仕事がそもそも多くないという面が大きいと思います。監査業務で重要性の高い論点、業務はそもそも任せられない、他方で重要性の低い論点、業務(監査業務に付随するNon専門家=公認会計士または試験合格者以外の方)は単価の低いアシスタント・派遣社員が手を動かし、若手としてできる業務がさらに部分的となってしまうことが考えられてしまうからです。
前回までと今回で考察したように、Deloitteトーマツは成熟した監査法人で、イケイケどんどんでグングン成長している法人ではないと分かりました。
スタートアップのような若手にチャンスが溢れているという環境を求める人には法人としてのステージが合わないかなと思います。
一方で、定型化されている型、先輩が後輩を育てるという確実なOJT環境でしっかり基礎を身につけたいという人には打って付けと言えます。後ほどどこかで触れようかと思っていますが、成熟した監査法人が故、変化・チャレンジに対して誰しもが柔軟で背中を押してくれる、環境ではないかなと思っています。
私自身、するしないに関わらず、最短3年で独立できる監査法人はどこかといった視点でトーマツ、かつ、首都圏以外の都市圏地方事務所を最初の職場に選びました。
データ分析は一旦置いておいて、その辺の経験談など次回掘り下げてみようかと思います。