膨らみ過ぎた外為特会はスリム化が必要

昨夜、アメリカのCPI(消費者物価指数)が3%と予想よりちょっとだけ低めに出た後、突如急激な円高が起きました。約4円ほど。でも、今日は早くも約2円の大幅円安の後約2円の円高、再介入か。爆上げしていた株価は1000円以上下落。東京市場はまるで「鉄火場」のよう。ドル円は海外市場でもジェットコースターですね。

案の定、ドル売り円買いの為替介入が行われた模様。「日銀の介入」とは言っても、指令を出すのは財務省国際局為替資金課で、司令塔トップが神田財務官です。今月いっぱいで退任します。「神田レポート」(国際収支から見た日本経済の課題と処方箋)も置き土産で発表(7月2日)。4月に続くドル売り円買いでかなりの実現益も出しました。

普通、為替介入はアメリカがとても嫌がります。なので米財務省の事前の了解をとってからやります。神田氏は以前、米当局とは毎日連絡を取っていると語っていました。4月のドル売り介入の時は、イエレン財務長官から一応クレームがきました。今回はどうか?アメリカは今、バイデン大統領が信じ難い「言い間違い」を連発し、政権がグチャグチャになっているので、それどころじゃないかも知れません。

円安で一番儲かっているのは、政府なかんずく財務省です。税収は過去最高。約200兆円ある外為特会は含み益が約40兆円もあります。なぜなら、円高局面で円売りドル買いした資金を主にドル債などで運用しているので、円安になればなるほど含み益が膨らむからです。しかもドル債は金利が高いので尚更ですね。

外為特会は運用で儲かっている分の一部を一般会計に毎年2〜3兆円を繰入れています。しかし、不思議なことに、ドル売り円買い介入以外は円転すなわち手持ちのドルを円に換えたことはありません。短期国債を発行して、そのお金を一般会計に繰入れ、税外収入としています。

昔、橋本龍太郎総理が外為特会のドルを「売りたい衝動にかられる」と発言し、「虎の尻尾を踏んだ」と言われ、まもなく退陣しました。つまり、タブーとされているのです。すると、外為特会は未来永劫膨らみ続けるのでしょうか?

私は鈴木財務大臣に、世界標準で外貨準備は貿易額の三分の一程度で充分であり、外為特会は不必要に膨らみ過ぎているのでスリム化したらどうか、介入と言われないよう計画的円転をすべきではないか、と提案したことがあります。期限のきたドル債は毎月償還されます。その一部を円転するわけです。

鈴木大臣の答えは、過度の円安局面の介入資金として持っておく必要があるので出来ない、というものでした。本当にそうでしょうか?今回の介入だってほんの数兆円。経済ホラー小説のレベルですが、万万が一、キャピタルフライトが起きた時は個人金融資産だけで2000兆円のあるのに、とても足りる額ではありませんね。

アメリカがインフレでFRBもQT(量的引き締め)で手持ちのドル債などを圧縮しようとしている今こそ対米交渉で外為特会スリム化のチャンス。円転して実現益を消費税減税で還元したら、間違いなく日本経済は本格成長軌道に乗って国民所得は増え、国民負担率は下がると思います。

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