皆の好きな要素が質高く盛り付けれた「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」観たよ。
観たよ「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」。
聞けば去年で水木しげる先生の生誕百周年だったらしく、そんな中で「鬼太郎誕生」が映画になるというのは凄い事だったんだなぁ……と遅れ馳せながら考えていた。
去年、公開している頃に妻と「『ゲゲゲの謎』面白そうだから観に行きたいネー」と言っていたんだけれど、結局アマプラさんで観る事になってしまった。
鬼太郎な。
思えばコミックボンボンなんかでも連載されていたし、アニメだって身近にあったものだけれど、そこまで原典に詳しいかと聞かれればそうでもない。
目玉の親父とか、ねずみ男、猫娘に砂かけばばあと子泣き爺、いったんもめんにぬりかべ……と、お馴染みの鬼太郎ファミリーが居て、アニメ……3期か4期だったかはオカリナを武器にしていた時期があって、夢子ちゃんっていう人間の女の子とも友達になってたんだっけ? とか。
記憶に新しい6期は猫娘がスラリとした美人になっていたり、前述の夢子ちゃんみたいに、人間の女の子との交流もあり……あとは目玉の親父の声優さんがドラゴンボールシリーズでお馴染みの野沢雅子さんになってたのも話題になってた、とかか。
前作、アーキタイプ……? にあたる「墓場鬼太郎」は存在をうっすらと知っていて、確か目玉の親父が志々雄様みたいな包帯グルグルの状態だったりしたんだよな。とか。
因みに朝ドラの「ゲゲゲの女房」は観ていない。
気にはなっているんだけれどもさ。
まぁ、「知ってるし観てたけど、そこまで詳しい訳でもないな」ぐらいの感覚だよ。
どっちかと言えば私個人は未就学児~小学校低学年くらいの頃はアニメでやってた「悪魔くん」の方が好きだったかも。ファミコンのRPG「魔界の罠」は自宅にあった。セーブがパスワード方式の頃のやつね。
まぁいいや。
今回は「ゲゲゲの謎」、通称「ゲ謎」の話だよ。
ネタバレは程々になるけれど、ざっくり、ざっくり感想書いて行こう。
時代は昭和31年。
時代的には戦後復興でどんどん頑張っていこう! みたいな時代になるのかな。
みんな社内とか電車の中でもバンバン煙草吸ったりしてる時代よ。今じゃ考えられない、勢いとおおらかさみたいなのが感じられる空気感。
血液銀行に務める水木は、製薬会社として巨万の富を築き、銀行の上客でもある龍賀一族の当主の訃報を聞き、今後の関係強化と龍賀一族の持つ謎の薬「M」にまつわる秘密を知るべく夜行列車に乗って一路、一族の本家のある哭倉村に向かう……というのがあらすじになるのかな。
横溝正史が描くような、いわゆる「因習村」概念っぽい、おどろおどろしい雰囲気であったり、和製ホラー感もある。
年齢制限も12歳からだしね。
私は気にならないけれど、確かに子供が観たら怖がる内容ではあるかも? 程度の。……そういえば、私も子供の頃はお化けとか、人並みに怖がったものだったっけ。
こういう世界観でパッと思いつくのが私の場合は「ひぐらしのなく頃に」なんだけれど、考えてみれば「ひぐらし」の時代が昭和末期なので、31年ってお魎さんが現役で鳴らしていた時代なんだな……みたいなのを勝手に想像してワクワクしていた。
妻は「キミ、そういうのよく引っ張り出してくるねぇ」と笑いながら言っていた。
主人公(の一人)の名前も「水木」だし、まぁ、これは間違いなく水木しげる先生にあやかって付けられたお名前だよね。
先生と同じく軍人として戦争に行っていた時期もあって、回想シーンを見るに南方……ラバウルの方っぽい描写もあるので。
で、この水木が哭倉村に向かう夜行列車の中で出会うのが、もう一人の主人公にあたる、後の鬼太郎の父。名前は名乗らないので、後にちょっとしたキッカケから「ゲゲ郎」と呼ばれる事になる。
ちゃんとお風呂も好きだったりするので、「あぁ、もう、父さんったら当時からお風呂好きだったんだな~」と少し口元が緩んだ。
最終的に「鬼太郎誕生」という結果がみんな分かった上で観ている前日譚……となるので、私の中ではイメージ的に「Fate/Zero」なんかを思い起こしていたんだけれど、姉に話を振ってみたところ「Fateの桜ルートっぽい」との事だった。
終盤の桜の妖樹が冬木大空洞っぽかったのかな? と私は勝手に思ったのだけれど、その辺はまた機会があれば姉に聞いてみようかなぁと思う。
あとはもう箇条書き気味に。
糸目のCV石田彰キャラ。
「裏切りそう……」「本気出したら目が開きそう」とか言ってたらその通りだったので良かった。みんなが観たいものをキチッと手堅くお出ししてくれる。良い仕事なさる。
アクションシーンになると線にブレが出て、躍動感が増すのが良かった。
幽霊族ってそれこそ鬼太郎みたいにすばしっこく動いては色んな道具や身体能力を駆使して……みたいな立ち回りをするのかなと思っていたら、ゲゲ郎に関しては結構武闘派というか、柵をもぎ取って即席の棍みたいにブンブン振り回したりと思った以上にパワフル。
リモコン下駄に体内電気、髪の毛針……ならぬ髪の毛ムチ? だったり、お馴染みの鬼太郎的な技を繰り出すゲゲ郎。
なかったのは指鉄砲くらい?
そうそう、鬼太郎といえば「ご先祖様の霊毛で編まれたチャンチャンコ」がカランコロンと鳴る下駄と並ぶ特徴的な装備だけれど、今作はいわば「霊毛チャンチャンコ/Zero」みたいな側面もあったのが面白い。
やはり鬼太郎には欠かせない装備である訳だし「こうやって編まれたものだったのか……!」というのはちょっとした感動があったりもした。
出会った当初はゲゲ郎に煙草をねだられて断った水木が、のちの墓場での酒盛りのシーンでは煙草を渡して一緒に一服するシーンとか、バディモノとしても上手く描いていて良いなぁと思える。
釣瓶火が降りてきてくれて煙草に火をつけてくれたりするのもコミカルでくすっと笑えて良い。全体的に暗めのテイストの物語なだけに、そういう差し込まれるコミカルな描写が際立つ。
全体的に、丁寧……というか、「よく作られている」というか。
周回に適しているな~、って思った。
2回目以降に見返した時に「あれはああいう事だったのか」って気付けるギミックがそこらじゅうに用意されている、というか。
おどろおどろしい因習村っぽさ、男性二人のバディモノ、根底にあるのは夫婦、家族、親子の愛情という事で、手堅くまとまったとも思うし、「みんなの好きな要素を『鬼太郎』ってブランドに乗せてお出しした質の高い二次創作」というのが私の正直な感想。
料理で例えれば「高レベルなお子さまランチ」みたいな感覚って書けば伝わりやすい、んだろう、かな?
決して子ども向けと侮ってはいけなくって、お子さまランチって、エビフライとかハンバーグとかチキンライスとかさ。ああいう、みんな好きなやつを質高くワンプレートでドーン! みたいな。
そういうの正直私は大好物だよ未だに。嬉しいよね洋食。
だから「ゲ謎」も楽しく観られた。
猫娘がスラッとし過ぎててちょっとイメージ違うかな~って敬遠気味だったけれど、これを気にアニメ版6期もちょっと観てみるのも面白いかも知れない。