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米国発 前川のニュースレター


前川のニュースレター 7月10日

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
今週火曜日から土曜日ぐらいまで南カリフォルニアではHeat Waveが来るとの予報です。内陸部では摂氏40度を超える予想となっています。海沿いの街では30度までは上がらないとの予想ですから、週末のビーチはものすごく混むでしょう。 やっと夏が来たと思ったら、今度は山火事のシーズンです。 さて、本日7月10日のニュースレターをお送りいたします。
 
【株式市場の動き】
先週月曜日の株価は小幅続伸して終わりましたが、その後続落して5日から7日金曜日の3日間で700ドル近く値下がりしました。本日は4営業日ぶりに反発して終わりました。 ダウ工業株は209.52ドル高の33,944.40ドル、S&P500は10.58ドル高の4,409.53ドル、ナスダックは24.76ドル高の13,685.48ドルで引けました。今週は12日に消費者物価指数(CPI)の発表、13日に生産者物価指数(PPI)の発表があります。また米銀の決算発表も予定されていますので、相場が大きく動く可能性大です。物価指数が下落して安定すると、市場に安心感が広がり、株高、国債の利回り低下、円高の方向に動くでしょう。また、米国の銀行の決算発表の結果次第では株価が下落して、国債への買いが増えて、利回りが下落という事になるかもしれません。
 
 
【不動産・住宅ローン金利動向】
FRBによる年内2回の利上げは既に市場では織り込み済みですから、消費者物価指数が思ったほど下がらなくても、大きな金利の変動はないと思いますが、この所FRBの高金利政策で米国の中小企業の倒産が急増しているため、倒産した中小企業の負債を被ることになった中小銀行の決算も決して良くはないと予想されます。 どれぐらいの数字が出てくるかにもよりますが、そうなれば、株価は下落して、長期金利の指標となり10年国債の利回りも下落するでしょう。その影響で住宅ローン金利が下がるでしょう。先週はFOMCの議事録が発表されて、公開市場委員会の会議参加者はほぼ全員が引き続きの利上げをサポートしていることが分かり、また連銀総裁らの利上げ賛成発言が相次いで、株価は下がり、国債の利回りが急上昇して10年国債の利回りが4%を超えました。その為、住宅ローン金利も上昇しましたが、本日は先週月曜日とほぼ同じぐらいの金利となりました。
この所、毎週月曜日にニュースレターを書いていますと、週のなかで大きく上下した金利がまた月曜日にはほぼ先週と同じレベルに戻ると言う動きを繰り返しています。もう少し長いタームで見ると、ここ数週間はじりじりと上昇、金利高止まりです。 しかし、FRBによる今後2回の利上げは相場に織り込み済みですから、更なるローン金利上昇圧力は少ないと思います。もうそろそろ上昇打ち止めでしょう。 
 
 
【経済の動き】
先にも述べましたFRBの利上げの折り込みと消費者物価指数、生産者物価指数の下落が予想されていますので、今まで、国債利回りの上昇を見込んで空売りをしていたヘッジファンドが方向転換してきました。ドルを買いから売りへシフトさせています。これは、国債の利回り下落に繋がります。もうFRBの利上げの行方が見えてきたという事でしょう。あと2回、7月と9月で終わりです。その動きはドル安、円高の動きに反映されています。先週独立記念日明けからドルが下がり始め、今日は141円26銭となっています。また、日銀がそろそろ政策金利を上げてくるようなので、日米金利格差が縮小してくることから、さらに円高方向に進むと予想されますね。
 
消費者物価指数のコア指数(エネルギーと食料品を除く指数)の大きな要因となっている中古車価格は6月は4.2%の下落となって前年同月では10.3%下落しています。また、もう一つの大きな要因の一つに家賃があります。未だに上昇しているのは中西部、東部ですが、西部は下落傾向を示していますので、全体としては消費者物価指数が先月よりさらに下落するだろうと予想できます。 以前99セントショップの売り上げが上昇している話題を取りあてましたが、最新のニュースによると、全米屈指のスーパーマーケットであるCOSTCOで、消費者の消費性向が変わってきているという事です。安い商品が中心に売れて、高額商品の売れ行きが落ちてきているとのことで、例えば、ビーフの売り上げが落ちて、その分チキンやポークが売れているなどです。
 
もう一つのFRBの金利政策に影響を与える雇用統計ですが、中小企業の求人数の減少が大企業よりも大きく、先の倒産が増えている現状と共に、中小企業の経営が苦しくなってきていることがハッキリとしてきました。その主要因は利上げと賃金上昇によるコスト増でしょう。また、6月の雇用統計では全体で30万人増加した失業者数の90%は黒人でした。白人の失業率は3.1%に下落しているのに、黒人の失業率は6%に上昇しています。ヒスパニック系は4.3%、アジア系は3.2%の失業率となっています。この比率はよく働く人、優秀な人の比率とは関係なさそうですね。米国で重視される黒人と白人の失業率格差も拡大に転じてきています。恐らくこれは労働市場の明らかな変化を示唆するもの見られています。
 
7月7日に労働省から発表された雇用統計は、6日に発表されたADP雇用統計と全く違う数字が出てきました。恐らく、ADPの統計にはパートタイムや掛け持ちの数字が入っていたようですね。ADPの民間雇用者数の発表は49.7万人増加と予想よりはるかに強い雇用の数字が出ましたが、労働省は発表の統計は33.9万人増となりました。米国では、近年IRS(米国歳入庁)が税金確保の為に、固定給でない個人の収入に対しても雇用主にW-2(日本の源泉徴収票に当たる書類)の発行を要求し、W-2、給料明細が発行されると、雇用にカウントされます。我々ローンオフィサーも出来高払いの給料ですが、W-2が発行されています。また、お客様でもセカンドジョブを持っておられる方が大勢います。例えばUber、Lyftを掛け持ちしているなどです。最近これらのドライバーにもW-2の発行が義務付けられました。W-2と給料明細はセットのデータですので、セカンドジョブも新規の雇用にカウントされている様です。別の角度から見れば、セカンドジョブをしないと生活が苦しいとも言えます。生活が苦しい人が多く居るのに、データ上は雇用が増えている、経済は強いと捉えられて、金利を上げ続けると後で、大きな影響がでる可能性もあります。
 
 
【今週の???なニュース】
7月7日にバイデン政権はウクライナへの追加援助8億ドルを発表し、その中にクラスター爆弾が含まれることが分かりました。これで、合計400億ドルの武器援助となります。クラスター爆弾とは、一つの砲弾が飛行中に多数の小型爆弾になって飛び散る仕組みの兵器で、不発弾が多く発生して、攻撃が終わった後に兵士以外の人を死傷させることがる為、2008年、世界で100か国以上の国がこの爆弾を使わない国際条約に署名しています。米国、ロシア、中国、北朝鮮、韓国、イスラエルなどはこの不使用条約には署名していません。バイデン大統領は、ウクライナ軍に弾薬が足りなくなったからと軽率な発言をしています。世界のリーダーとして民主主義、平和を希求してほしいですね。また、ぜレンスキー大統領はNATOに対して、ロシアへの先制核攻撃を要請しています。日本やG7各国はウクライナを支援し、米国のリーダーシップに従ってきましたが、そうなると話は別で、日本こそ米国やウクライナに核の使用は断固反対ですよと言わなければならないでしょう? フランスはG7の中でもこの所少し米国から距離を取った発言を始めています。ウクライナ、ロシアの穀倉地帯を戦争で使えなくしてしまうと、困るのはこれらの国から穀物を輸入している中東、アフリカ諸国です。ひまわり油、小麦、大麦、トウモロコシなどの両国のシェアはそれぞれ2国合計で、77%、29%、30%、15%となっています。中東やアフリカ諸国が食料に困って、ヨーロッパに移民が大挙押し寄せ、また中東、アフリカ諸国が反米に動いているのはウクライナ戦争の為でもありますから、ロシアを懲らしめるよりも早く停戦して、世界の安定を図ったほうが賢明な選択ではないでしょうか?
 
【国際政治ニュース】
8月22日から24日に掛けてBRICS首脳会談が開かれます。ここではBRICSの共通通貨に関すして話し合われます。金本位制での共通通貨を目指す様です。実はBRICSの共通通貨の推進を後押ししているのは元ゴールドマン・サックスのJim O‘Neillだと言われています。またひと儲けを企んでいるんでしょうが、しかし、これはうまくゆかないと思います。2国間同士の決済をBRICSで行う事は出来るでしょうが、BRICS加盟国(これからも増えそうです)の中で、共産主義の中国が中心となると、BRICS通貨の信用性が担保されないでしょうし、その通貨を使って購入できるものは加盟国の製品、天然資源が主で、土地や債権、国債の購入に魅力があるでしょうか? 国の準備金としての機能も果たせないでしょう。 ドル、ユーロ、円なんかをそっくり飲み込んで基軸通貨になることはこの100年やそこらでは起こらないと思います。ただし、世界中のドル需要が減ることは間違いないでしょう。BRICSは殆どが資源国です。BRICSに中東産油国も参加すれば、かなりの大きなドル需要が減りますので、長い目で見ればドルの需要や魅力が減ってきます。もし、中国が共産主義を捨て、自由経済を導入すれば、話は別ですが。そうなれば、それは中国ではなく別の国ですね。それもいいかもしれませんが。
 
 
【豆知識】
米国で来年最も値下がりしそうな場所トップ10
 Brownsville-Harlingen, TX    -3.8%
Seattle-Tacoma-Bellevue, WA   - 3.7%
Austin-Round Rock-Georgetown, TX   -3.6%
San Francisco-Oakland-Berkeley, CA   -36%
Victoria, TX    -3.5%
St. George, UT   -3.3%
Provo-Orem, UT   - 3.0%
Stockton, CA   -2.8%
Boise City, ID   -2.7%
Salt Lake City, UT   - 2.6%
 
Texas以外は米国西部地区となっています。

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