米国発前川のニュースレター
いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
この写真は、2月に日本に帰った時に田町にある御田八幡宮の境内で咲いていた花です。花の名前は知りませんが、とても良い香りがしました。
次回の日本滞在は5月の中頃です。菜の花が満開になっているでしょうか?
国際情勢が混とんとしています。イスラエルとイランがいよいよ直接対決か?と言われています。平和な日本は各国の憧れの的らしいです。
4月15日のニュースレターをお送りします。
【株式・為替市場の動き】
4月15日、今朝発表された米小売売上高が市場の予想を上回り、先月分も上方修正されたこと、イランがイスラエルに報復攻撃を行ったことによる中東情勢の悪化などが原因で米国債の利回りが急騰。この国債の利回り上昇、ドル高がFRBの金利引き下げをさらに困難にするとの観測から株価は大きく下がっています。ダウ工業株はマイナス248.13ドル、S&P500はマイナス61.59ドル、ナスダックは1.79%も下がり、マイナス290.07ドルとなりました。円も大きく下がって、1ドル154.27前後で推移しています。為替相場はこの所、米国債の利回り上昇に合わせる様に円安、ドル高が進んでいます。さらなる円安がすすみそうです。
【不動産・住宅ローン金利動向】
以前にも何度もお話しました様に、米国10年国債の利回りは長期金利の指標となっています。それ故、10年国債の利回り上昇は長期金利の
上昇に繋がり、住宅ローン金利は上昇します。添付の金利表にもある様に、30年固定金利は再び7%台に戻って、上昇トレンドです。昨年10月の金利水準までには戻っていませんが、8%弱の金利まで行く可能性が十分あります。また、イスラエル、イラン戦争の行方次第では、原油価格の上昇がインフレの高進に繋がり、米国債の利回が上昇する可能性があります。
今月26日のPCE(Personal Consumption Expenditure=個人消費支出)の発表がありますが、その結果次第で更なる円安、米国金利高が進む可能性もありますので、要注意です。しかし、この金利上昇傾向で新築物件を含む住宅の売買にブレーキが掛かっている様です。今年に入ってから住宅供給過剰、治安悪化などにより、価格が下がっていた都市の物件の売れ行きが良くなっています。真剣に不動産を購入しようとしている人たちは、今自分が住んでいる場所だけではなく、全米で可能性のある場所を探している様です。
これも、簡単に全米の物件の価格、条件が確認できる各不動産会社のWeb Siteのお陰でしょう。
先週もお伝えしましたが、今年に入って物件価格が下がっている都市の最新情報をお伝えします。
Portland, OR, San Francisco, CA, San Antonio, TX, Raleigh, NC, San Jose, CA, Denver, CO, Kansas City, MO, Cincinnati, OH, Oklahoma City, OK, Miami, FLなどで、Miamiは8.2%も下がっています。
売買が増えている都市はSan Jose, CA, San Francisco, CA, Cincinnati、OH、Milwaukee, WI, Seattle, WAとなっています。
値段が下がったのを好感して、買いが増えている様です。また売り物件が増えている都市もかなり同調しています。
早く売らなければ、値段が下がると売り主が考えたのが一つの原因でしょう。昨年と比べて売り物件が増えているのはSan Jose(56%)、Sacramento,(39.2%)Austin(30.7%)Jacksonville(30.5%)、Oakland (30.4%)などです。
特筆事項としては、フロリダの売買が低調です。 全米平均では今年に入ってからも若干の値上がりを続けていますが、フロリダ、テキサスが
不調です。その主要因は供給過剰だと思われます。大都市は概して民主党が強く、環境基準、建築基準が厳しい為、新築の供給に時間が掛かったり、コストが高かったりと売買は中古が中心となります。
フロリダ、テキサスは共和党の州知事が納めている全米でも指折りの保守の州です。不動産投資家や、開発業者にとっては悩ましいでしょうが、住宅供給が多く、物件価格が下がっているという事は、住民にとってはよい事で州の政治が機能しているとも言えます。
人口が多く、需要が高い都市に限って供給が少なく、値段が高いので購入するのが難しくなり、さらに値段が上がり、中低所得者は賃貸に向かってしまうようです。中低所得者は高すぎる物件購入価格、高すぎる家賃から家族と同居や数人で家を共同で借りるなどの自己防衛に入っています。家族と同居が増えると、子供世代は、生活に余裕が出て可処分所得が増えたり、売り物件の減少につながる可能性もあります。
今後は、物件の供給がじりじり増え続けると思われます。理由は先週のニュースレターにも書きましたが、失業率が上がって来たり、消費支出が減少してくると市場に景気後退警戒感が広がり、株価下落、対応策としてFRBによる利下げ、国債の利回りの下落と続いてゆくでしょうから、不動産物件価格の下落も期待できます。物件価格の高いうちに利益を確保し、売りたいと思う人たちが増えて、物件の売りが増えてくるからです。このまま物件価格高、高インフレ、株高、金利高が続くと経済のバランスが崩れてしまいます。上位5%ぐらの収入の高い人しか家が買えなくなってしまいますし、年金生活者が困り、中所得者が低所得者になり、購買力が失われてしまうからです。そうなれば回復にとんでもなく時間が掛かる大きな不況に陥ります。その前にFRB、政府は手を打つでしょう。物件価格は買いやすいところまで落ちると、買いが増えてまた上昇するので、待ちすぎると下がった価格での購入が出来なくなります。要注意です。
【経済の動き】
ここ数カ月の皆さんの関心事はドル円レートと金利動向でしょうか?
今日はこの話をしてゆきたいと思います。
まずドル円の話でから行きたいと思います。 当分は円安が続いてゆくと言うのが私の考えです。昨年まではかなりドルと円の金利の差がドル円のレートに整合的でした。私はいつも米国10年国債と日本10年国債の利回りを見ています。金利差が拡大すると円安に、縮まると円高に振れていました。しかし、最近は必ずしもそうなってないようです。大まかに言うと過去の金利差で見ると1ドル140円台ぐらいが妥当なところです。円安の一番大きな理由は米国の金利高です。インフレの下落が止まり、逆に今年に入ってインフレが進みそうな気配です。CPI, PPI, PCE、雇用統計とどれをとってもインフレの明らかな下落が止まりました。インフレになると元本保証の国債は目減りする為、利回りが上昇します。 上記の指標が発表されてインフレが予想より高くなると必ず金利が上がって、円安に動きます。もともと、コロナ対策で莫大なお金を市場にばら撒き、環境問題、ウクライナ戦争でさらにドルを刷ったことで、ドルが溢れてそのドルが株式市場や消費に回り、移民による人口増加でさらに政府支出が移民対策として増え、移民が消費をしたリ、就職をするという構図になっていますので、これまのインフレ低下はサプライチェーンの正常化が一番の理由だと考えられます。その後は原油高による輸入品価格の上昇、輸送費の上昇による国内商品のコスト高でインフレが再燃しそうな状況となっていますので、これまで以上に大幅な金融引き締めをしない限りは(FRBが市場からドルを吸い上げる)FRBが目標とするPCEのインフレ率2%には届かないと思われます。恐らく現状が長く続くでしょう。それゆえ金利が下がらず景気後退の不安が出てくるので、今年は無理やり金利を下げて来ると見込まれています。実際、そうしなければ景気後退すると思います。
米国の金利が高止まりしているので、余程日本の金利が上がらなければ、円安、ドル高が続くでしょう。さらに、日本は円安の為貿易収支の黒字が嘗てほどの額にはならず、弱含みです。また、新ニーサなどの米株購入、円キャリ―トレードも円安要因の一つです。日銀の大きな利上げなどがあり得なければ、当分は円安が続くと思われます。日銀の利上げは日本のデフレ逆戻りのきっかけになりますから、恐らく現政府は出来ないでしょうし、する必要もないでしょう。このように見てくると、少なくとも今年は多少の上下はあるにせよ、円安が以前よりハッキリと見えてきました。金利も高止まりでしょうが、不景気がの兆候がもう少しはっきりと見えてくると、下がってくるでしょう。
今までのFRBの金利目標が現状では引き上がるでしょうから住宅ローン金利が6%を切れば御の字のレベルではないでしょうか。
恐らく来年にならないとそうなりそうにないですね。私の予想より早くそうなって欲しいです。
【今週の???な国際ニュース】
皆さん、米国の金融大手ブラックロックと言う会社を知っていますでしょうか?
この会社は世界の主要な金融機関、年金基金、財団、公的機関、個人投資家などの資産を運用している会社で、ETFなども販売しています。ただこの会社今を時めく米国のトップ会社の殆どの主要株主になっており、CEOであるラリー・フィンク氏が先日、来日した折に、岸田首相は迎賓館で彼を迎えています。一投資会社のCEOを国賓並みの対応です。4月12日にこの会社の第一4半期の決算が発表されまして、長期投資ファンドには760億ドル(約11兆6,000億円)の資金純流入となり、顧客運用資産は過去最大の10兆5,000億ドル(約1,500兆円)となっています。因みに日本のGDPは4兆2,375億ドル、国家予算が110.3兆円で、日本の国家予算の10倍以上の規模になっています。運用規模が問題なのではなく、その影響力です。世界の多くの有名企業や大手銀行のトップの株主になっており、その影響力がすごいのです。ブラックロックの子会社、関連会社、同じく米国のバンガードなどの競合会社を含めると米国の金融業界における影響力が尋常ではありません。米国の不動産多数所有しており、地域の家賃に影響を与えています。米国で不景気がきて不動産価格が下落したタイミングを見計らて一気に大量購入を繰り返している様です。今は彼らの全米の物件所有率は1-2%ですが、その内かなりの影響力が出てくると思います。REITのファンドもかなり強いですね。
企業の大株主ですから、企業の利益が自社の利益となりますから、企業文化、会社、従業員、地域社会、国益より株主の利益を優先させる西欧社会型経営を世界で展開しています。未だに戦闘が終わっていないウクライナへの各国の支援金をウクライナから預かり運用し、また、資金の必要なウクライナの肥沃な農地を買い取り(噂では、農地の約2割を取得済みと言われています)復興支援の為の金融を一手に引き受けることになっている様です。 日本は米国からウクライナ復興のための支援を依頼されて、数兆円の支援を間接的にすることで合意している様ですが、 その資金運用をブラックロックが担当する話を進めているのではないでしょうか?
毎日、戦争でケガをし、命を失っていることは我関せず、お金儲けだけと言う会社が力を持っており、多くの国がそれに従うと言う世界は如何なもでしょうか? ゴールドマンサックスなんかも似たようなものですね。
【豆知識】
世界で最も飲食が楽しめる街トップ10
1. 東京
2. イスタンブール
3. メキシコシティー
4. パリ
5. リマ(ペルー)
6. ローマ
7. シンガポール
8. コペンハーゲン
9. 大坂
10.マドリッド