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【Overseas】 欧米メディアの作法 - なぜ虐殺に抗議すると、反ユダヤ主義なのか? - 後編

前編はこちらです。

後編の目次


3. テレビ報道の定量分析

次に、Substack に2023年11月16日に投稿された、アメリカのケーブル・テレビにおけるイスラエルとパレスチナに関する報道に焦点を当てた定量分析を紹介する。Substackも第一節で言及したオルタナティブ・メディアの一つである。この投稿は、オックスフォード大学でデータサイエンスの学位を取得した数量分析研究者、オスマン・アリによるものです。記事のタイトルは、

“Massacred” vs “Left to Die”: Documenting Media Bias Against Palestinians Oct 7 - Nov 7
『「虐殺」vs「放置死」: パレスチナ人に対するメディアの偏見を記録する 10月7日-11月7日』

というもので、さらに以下のような副題がついている。

A quantitative analysis of the first month of conflict, reveals how dehumanization is baked into the ideological cake of cable news.
(紛争が始まった最初の1ヵ月を定量分析すると、非人間化がケーブルニュースのイデオロギー的ケーキにいかに焼きこまれているかが明らかにする。)

なお、この調査分析も、前節のインターセプトによる新聞報道の定量分析同様、一般に入手可能なデータに基づくオープンソース分析であり、容易に再現が可能だ。元記事からデータを入手することが出来る。

この調査分析は、パレスチナ人11,000人以上、イスラエル人1,200人以上が殺害された最初の1ヶ月間(2023年10月7日〜同年11月7日)の、アメリカの3大ニュース・ネットワークであるCNN、MSNBC、FOXニュース報道で、ガザの武力紛争においてイスラエル寄りのバイアスが働いているという仮説を検証しようとしている。

以下に、5つの重要な調査結果を説明する。

調査結果1:

イスラエル国防総省(IDF)のピーター・ラーナー報道官は、CNN、MSNBC、FOXニュースの3つのチャンネルで、30日間で44回もインタビューを受け、ほとんど反論されることなく、誤解と歪曲の自由裁量を与えられた。

Chart 3-1-1 IDF報道官のインタビュー数

さらに、IDFのピーター・ラーナー報道官のインタビューは、10月7日から11月7日までの30日間に、3つのチャンネルで合計19回生放送された。

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