第9回 隠しごとがあると、パフォーマンスを発揮できない
皆さん、突然ですが、隠しごとはありませんか?
―額縁の裏にへそくり(いまだにあるのかな?)
―オンラインミーティングしながら、下はパジャマ(別に隠してない?)
―キッチンに無造作に置いてある紙袋の中には実はチョコがぎっしり(見つかると家族に食べられちゃうからね。無造作に見えるところに置いておくのがポイント) などなど。
小さなことから大きなことまで、人によって、様々あれど、一つも隠しごとがないという人はいないかもしれませんね。
今日のテーマは「隠しごとがあると、パフォーマンスを発揮できない」。
もうその通りなんです。
人は多かれ少なかれ、他者と関わるときに「隠しごと」をしているかと思います。
こういう自分を出したら嫌われるかな、こういうことが不得意だって知られたら評価されない、こういう悩みがあるって知られたらダメな奴だと思われる、・・・そうやって、自分自身の性質や気持ち、困りごと、もっと言うと自分の本来の姿をも隠そうとします。
で、これやっているとどうなるか。
そう、最大限パフォーマンスを発揮できない。人は何かを隠そうとすると、ものすごくパワーを使います。だから、隠す方にパワーを取られて、パフォーマンスの発揮にパワーを全集中できないのです。
ちょっと想像してみてください。ほっぺたにシミがあるとします。(っていうか、実際あるし)
それをあんまり人に見られたくなくて、人と会うときには必ずコンシーラー(肌色のクレヨンみたいなやつ)を入念に塗ってその上から自然に見えるようにファンデーション塗って粉をはたく。それだけでもちょっと面倒なのに、人と会っているときに、「汗かいてきちゃったけどファンデーション剥がれてシミ見えてないかな」「なんか相手がじっとこっち見てるけど、うまくシミ隠せてなかった・・・?」なんて心配になったり不安になっていると、相手と話をしていたとしても、話なんか頭に入ってこないし、何かに取り組んでいたとしても集中できないですよね。
それと全く同じことが、仕事でも言えるのです。
人は隠しごとがなくオープンな状態、つまり「ありのままの自分」(=「その人そのもの」)でいられるとき、一番力を発揮できます。(有名な“ジョハリの窓”でいうところの、「自分も他人も知っている自分」の領域が大きくなれば大きくなるほど、その人本来のパワーを発揮することができるとも言えます)
その状態で働くとき、人はいきいきとした感覚を味わいながら成果を出すことができるのです。
じゃあ、どうやったら、職場で「ありのままの自分」でいられるのか。
これ、いわゆる、心理的安全性の高い職場であれば、「ありのままの自分」を出していくことに、そこまで抵抗も苦労はないと思うのですが、世の中の職場は残念ながらそんな職場ばかりではないですね。(裏を返せば、一人ひとりのパフォーマンスの発揮に、いかに心理的安全性が大事か、という話でもあります)
そうなったとき、わたしが思うに、ここでも「自分の強み」が重要なポイントになってくると思うのです。自分の強みを自覚的に発揮できていると、自分で自分の価値を承認することができ、そうなると、弱みや苦手なこと、困っていることを話すことが怖くなくなります。「こういうところは強いから任せてね、でもこういうことはちょっと苦手だから、そういうときは助けてもらえるとうれしいな」と率直に言えるようになるのです。さらにそうした正直でオープンな態度、コミュニケーションを取っていくと、周りの人たちも心を開きやすくなり、結果的に職場全体の心理的安全性が高まっていく効果もあります。
そういう意味で、自分の強みを認識することは、パフォーマンスの発揮に直接つながるのはもちろん、ありのままの自分でいるための突破口となり、その姿は周りの人たちも自分はそのままでいいのだと思わせて、心理的安全性を向上させることにもつながっていくのです。
このことを改めて思い知らされた出来事があります。
以前、わたしはある学生さんから相談を受けました(本人が特定されないよう、一部表現を変えています)。その方をAさんとします。Aさんは、いわゆるLGBTQの方ですが、学生時代、そのことはずっと周囲に秘密にしてきたそうです。周囲に知られることで、友人や人間関係を失ってしまうことを恐れたためです。Aさんはあるスポーツサークルに入っていましたが、もちろん仲間にはそのことは秘密にして活動に励んでいました。でも、とてもとても苦しかったそうです。もしバレてしまったらサークルを辞めなければならないのではないか、辞めたくないから絶対に知られてはいけない、でも本当は、大切な仲間に本当の自分を知って欲しい、そもそも周りに言えないのは周りを信頼できない自分のせいなのではないか・・・。そんな思いをずっと抱え、時に精神的なバランスを崩してしまうことがありながらも必死に頑張ってきたそうです。このお話を聞いたとき、Aさんの苦悩の一端に触れ、この学生さんは何も悪くないのに、なぜこんなに苦しまなければならなかったのだろうと涙が出そうになりました。
最終的には、そのAさんは、サークルのごく身近な人たちに打ち明け、打ち明けた後も変わらず仲間でいてくれたことに安心し、そこからは思いっきりサークル活動に没頭し、試合などでもみんなと心を合わせて協力し、実力を出し切ることができたそうです。
わたしはこのAさんのお話を聞いて、改めて、ありのままの自分でいられない苦しさ、ありのままの自分でいられるパワフルさを実感しました。
※ちなみに、こちらは学生さんからの相談、と書きましたが、わたしへの相談内容としては、上記のような経験から、もう自身のことを周囲に隠して生きたくない、思う存分自分のパワーを発揮して働きたい、という思いより、LGBTQへの理解があるダイバーシティが進んだ企業に就職したいので、どう探せばよいかという相談でした。Aさんはとても優秀な学生さんです。優秀な学生を採用するために、ダイバーシティ推進が必須であることもよくわかります。
皆さんは隠しごとにパワーを使っていませんか?
もうそんな無駄なことはやめて、自分のいいところや持ち味の発揮に全集中していきましょう!
それがあなたや組織の幸せと成果につながります。
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