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モンゴルのにおい

所属しているIWAMのメンバーと
ウランバートル市内にある巨大なカシミア
製品の工場見学へ行ってきました。

モンゴルは国土自体がデカいので、
工場の外観を見ても、そんなに大きく
見えなかったのですね。

それが中に入ると、その規模の大きさに
驚かされまして。

ゆうに中二階がつくれるほど天井は高く、
どこをどう歩いたのか、内部はまるで
巨大迷路のよう。

ひとりで出口にたどり着けと言われたら
きっと絶対無理。

その中で、遊牧民が刈った原毛が、カラフルな
カシミヤ製品になるまでの生産工程を
じっくりと見学させていただきました。

まずは、山と積み上げられたカシミヤ原毛を
前にしたとき。

ムァンとするにおいが鼻をつきました。
ムァンですよ、ムァン。

モンゴルに来たことがある方なら
きっとわかるんじゃないかなぁ。

そのにおいで私は瞬時に
モンゴルの草原へとワープ!

あぁ、モンゴルだなぁ。
モンゴルにいるんだなぁという感覚が
全身に沁み渡ります。

あえて言えば、
動物園のにおいが似てるかな。

巨大な工場内には巨大な機械が絶え間なく
稼働していて

その耳をつんざくような稼働音の中では
お互いの声は届きません。

なので、口だけ大きく「サンバノー
(こんにちは)」と動かして、モンゴル人の
従業員の人たちへあいさつ。

もともと、物静かなモンゴル人。
穏やかな笑みをたたえて、静かにうなずいて
それにこたえてくれるんですね。

こういうところがモンゴル人の
好きなところなんだな。

案内された各部屋では、日本の機械を
たくさん目にしました。

SHIMA SEIKIさんのニットマシン。
モンゴル人のガイドの方が、私を日本人と知って
「ほら、これもあれも日本製ですよ。」と
嬉しそうに教えてくれました。

緻密で一寸違わないリズミカルで
シャープな機械の動き。
あぁ、やっぱり日本製だ!

異国でこういう光景を目にすると、やっぱり
胸にこみあげてくるものがあるんですよ。

スカーフのデザイン工程では、パソコン上に
表示された絵柄が、右に左にと動く機器を
通して、鮮やかな花柄模様を描いていました。

一工程を終え、物静かなモンゴル人の男性
社員ふたりが、新しい無地のスカーフを
手際よくセットしていたとき。

その光景を見ていたら、なんでかわからない
けれど、急に熱いものがこみ上げて
きたのです。

モンゴル人、ありがとね、
みんな、ありがとね、
もうすべてのもの、ありがとね、みたいな。

そんな自分の意思とは関係なく
溢れ出してきた涙。
自分でも対処に困りました!

なんでこんな時に泣いとるんかねと。

涙がこぼれない落ちないように
目を思いっきり見開いて、
蒸発させようと必死になっていた私。

その空気を私が漂わせていたからなのか、
次に案内された衣類最終工程の部屋では

針を片手にボタンつけをしていた
お兄ちゃん従業員が私をじーっと見て、
うん、うん、わかってるよとでも言いたげに
優しくうなずいてくれたんですね。

なんかすべてを見透かされていたような
感じで。

心を通わせる人間同士の温かい交流。
人間同士だけでなく、地球上にある
すべてのものとの交流。

生きていく上で、これ以上に大事なものって
あるのでしょうか。

行き着くところは、やっぱりこれだと
思うのです。

今日のメンバーはモンゴル人、ハンガリー人、
メキシコ人、そして日本人の私。
なかなかユニークです。

この広い地球で出会え、時間を共有してくれた
ことに感謝します。

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