Adobe XDはオールインワンのUX/UIソリューションと言えるのか?
という企画を見て、「え?マジで??」という気持ちになり、思わずツイートした。
UXデザインのプロセス
あんまり難しいことは言いたくないが、一般的にUXデザインのプロセスって「現状の調査」「ニーズの把握」「課題解決のアイデア創出」「プロトタイピング」「評価&改善」みたいな流れがあって、それぞれで必要とされる成果物がある。(例えばペルソナ・カスタマージャーニーマップ・プロトタイプなど)
で、これって業界標準みたいなものがなくて、わりとみんなそれぞれ考えたオレオレUXデザインプロセスみたいなのでやってると思う。だから初学者にはハードルが高いし、デザインわからない人からすればやたらリサーチばかり時間かかるしポストイット貼りすぎじゃね?意識たけー!みたいなふうに見えてしまう。
しかも成果物として何を用意したら良いかみたいなところも、色んな会社が一部のフェーズを切り取ってツールを出すもんだから、たくさんのツールを組み合わせないとプロセスが完結しないという状況に陥っている。
そんな中、出てきてるのが統合デザインツールの流れ。業界標準のデザインプロセスを構築し、シームレスにフェーズを移行して、必要な成果物が簡単・効率的・高品質にアウトプットできる、みたいなものをAdobe XDやInVisionは目指しているのだと思う。
Adobe XDの現状はプロトタイプ制作と共有のツール
統合デザインツールを目指しているのはわかる。でも、さすがに現時点で「オールインワンのUX/UIソリューション」と言えるんだろうか?
実際にはプロトタイプを制作して、共有することしかできない。
先日、外部連携やAPIについても発表されたが、外部サービスを取り扱えるようになったからといって、果たしてオールインワンと言えるのか?UXデザインについてわからないユーザーは、どの外部サービスを使えばオールインワンを実現できるのか、迷路の中に迷い込んでしまうのではないか?
UXデザインの誤解
1プロジェクト無料のプランができたゆえ、おそらく初学者の方々がどっと押し寄せてきた結果、言葉の誤解も生まれてきている。プロトタイプを作るのはUXデザインプロセスの一部の作業であって、UXデザインは動くモックアップのことではない。
Adobe XDは良い製品だと思うけど、マーケティングがズレてる
確かに軽いし、機能もシンプルですぐに覚えられて、素晴らしい製品だと思う。でもXDだけでUXデザインが完結するみたいな訴求には納得が行かない。AdobeにはXDがデザインプロセスのどこを担っているのか正確にユーザーに伝えて欲しい。全部出来ますみたいな魅せ方は誇張しすぎだ。
無料って言いすぎ
「XDの新しい無料のスタータープランは、すばやく、簡単、しかも無料です。」ってサイトに書いてある。ファーストビューのデスクリプションに。無料のスタータープランなんだから、わかるよ。しかも無料って言わなくても。無料連発が半端ない。
資料づくりができます、でいいの?
資料作ったり、スライドつくったり、色々使えて最高!みたいな事例をたまに見かけるけど、これがAdobeが目指しているオールインワンなの?
だとしたらエクセル・パワポこそオールインワンのUX/UIソリューションみたいになっちゃうと思うんだけど。それでいいの?
これはユーザーが勝手に発信していることだけど、コントロールできていないAdobeにも責任はある。
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ポチポチするだけでペルソナができて、ドラッグアンドドロップでカスタマージャーニーマップが描けて、そこから課題の発見〜機能のアイデアを発散・絞り込み、プロトタイプ作って配布してユーザーテストまで、その流れがXD上で簡単に出来たらな。別に高機能じゃなくていい。機能不足は外部連携やサードパーティのプラグインが解決してくれる。
もうすぐAdobe MAXだ。きっとまた去年みたいにInVisionはデカイ発表をぶつけてくるだろう。 XDはどこに向かっていくのか?改めてAdobeには現状のプロダクトで出来ること、将来のビジョンをわかりやすくユーザーに示して欲しい。Adobe自身が#できるぞAdobeXDを正しく伝えなきゃいけないんじゃないか?
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