育児しながらフリーランスをはじめて3ヶ月がたった
3月末に子供が産まれ、4月末に会社員を辞めて、5月からフリーランスになって3ヶ月が経った。あっという間だった1クオーターを振り返ってみた。
子育てについて
4〜5月は奥さんの実家にお世話になった。産まれたばかりの赤ちゃんは2〜3時間おきに途切れ途切れで起きて授乳・オムツ替えをするため、24時間の臨戦態勢が必要だった。お父さん・お母さんのサポートには本当に頭が上がらない。
6月には自宅に戻り、奥さんと2人での体制となった。少しずつ寝る時間が伸びてきたものの、昼間に寝て夜起きてしまうような状態が続いたりもして、奥さんが昼間・僕が夜担当みたいな状況も起きた。
7月からは奥さんが職場に復帰、ほぼ週5日で時短(もともとあまり出勤時間に縛られる環境ではない)で仕事をしている。僕はほとんど家で仕事をしながら、週に1回だけシッターさんに子供を預けてミーティングやN高等学校の授業収録にでかけている。
この3ヶ月、子供のそばにいれたのは本当に良かった。何しろ変化が半端ない。1週間毎に顔や体型は変わっていくし、睡眠の時間帯、ミルクの量、どうして泣くのか、何に喜ぶのか、毎日のように発見がある。
反省点も多い。自分の性格的な面や男性だからというところもあるが、奥さんしか気づかない細かいところに気づけない。それによってイライラさせてしまうことも多々あった。
昼間に一人で面倒をみていて、どうしても泣き止んでくれないときや、夜中の12時頃に起きてしまって朝の4時ごろまでずっと泣きぐずっていたときなどは、本当にどうすればいいかわからなくて途方に暮れた。
キッズラインについて
子育てをしながら仕事をしていくにあたって、何かしら保育サービスを受ける必要があった。最初は保育園を検討した。しかし0歳数ヶ月の子供を送り迎えして預けるというのに抵抗があった。それに住んでいる中野区は全国的にも待機児童激戦区のため、入れる自信が全くなかった。
そこで利用したのが、前々から先輩パパ・ママに勧められていたキッズラインだ。ベビーシッターと子供を預けたい家族のためのマッチングサービス。ベビーシッターの方はさまざまで、保育士の資格を持っているような方もいれば、医者・保育士を目指している学生の方など。キッズラインの研修さえ受ければ誰でも働くことができる。最近だと芸人の方がキッズラインでシッターの仕事をしているのをTwitterで見かけた。
なるべく近所に住んでいて、週に1回定期的に来てもらえる方を募集したところ、無事に良い方と巡り会えた。今はその方に来てもらっているおかげで、週に1回安心して外出する時間が作れた。
キッズラインには条件を入力してシッターさんを探す「検索」機能と、募集内容を入力してシッターさんに呼びかける「募集」機能がある。最初に検索機能で探したところ、ほとんど条件に合う方が表示されず利用を諦めそうになったのだが、募集をかけたところ次々にメッセージが届いて無事に良い方にお願いできることになった。キッズラインはデザインを変えて、検索機能よりも募集機能をメインにしたほうがいいんじゃないかと思った。
気になるのは値段だが、これは認可保育園などより割高だ。大体、時給が1,500円ぐらい。特に0歳〜対応してくださるシッターの方は少ないので、値段も上がる。これから自治体の助成金などが充実し、徐々に手頃な値段になっていきそうだが、理想は1時間あたり500円ほどで利用できるぐらいになってほしい。かといってシッターさんが稼げなくなってしまっては元も子もないので、助成金だけではなく何かテクノロジーやビジネスモデルの工夫で値段を下げる企業努力が必要になると思った。
現在の仕事について
4月末でサラリーマンを辞めて、個人事業主になった。退職前にいくつか案件の打診があって、おかげさまで独立してすぐに仕事することができた。お仕事をくれたクライアントの皆様には、僕の複雑な状況・環境を理解してくださって感謝しかない。
N高等学校
フリーランスになって一番大きな案件は、カドカワが運営しているN高等学校でのWebデザイン授業のカリキュラム制作と講師の仕事。
創立3年目で6000人以上の生徒が集まっているN高等学校。以前からプログラミング講座がすごいと話題になっており、書籍も出たりしていたので気にになっていた。それがまさかの自分のところにWebデザインの授業の依頼が来るとは…。これは運命としか思えず、即答で引き受けた。
基本的には自宅でカリキュラムをコツコツと書き溜め、N高の担当者の方にレビュー・修正をしてもらいつつ、2週間に1回は歌舞伎座タワーのスタジオから生配信で授業を行っている。
配信システムはニコニコ動画の技術が活かされたもので、リアルタイムに質問が飛んでくる。授業が始まるとおなじみの「8888888888〜」とコメントに流れたり、授業内容が把握できているか確認するためにアンケートをその場で取ったり、ネットで学べる高校ならではの独特の環境で、生徒の皆さんとコミュニケーションを取っている。
本格的なカリキュラムの制作、動画での生配信授業など、どれもこれも初めてのことなので走りながら学ばせてもらっている。未来のWebデザイナーを1人でも増やすため、引き続き頑張っていきたい。
GIG
GIGは元LIGの代表だった岩上さんが新しく作ったWeb制作会社で、創業から1年ちょっとでものすごく成長している会社だ。岩上さんとの出会いはかれこれ5年ほど前で、節目節目でお会いする機会があったのだが、今回たまたま独立する直前にお会いしてその旨をお伝えすると、さっそくお仕事を頂けることになった。
元々僕が受託会社・事業会社にいて、発注・受注両方のプロセスを経験していたため、今はGIGの新規事業について意見を出したり、受託案件の紹介や制作プロセスの改善などを行っている。
エンジニア・デザイナー・ディレクター・編集・ライターの方々がいて、Web制作における箱から中身まで作れる体制なので、何か自社のコーポレートサイトやオウンドメディア・Webサービスなど、お困りの方がいらっしゃったらぜひ相談して欲しい。
人材も募集中だ。
某スタートアップ
Facebookでフリーランス宣言をしたところ、久しく会ってない方々から次々に連絡が来た。なるべくそういったかたのお話はお会いして聞くようにしたのだが、1つめちゃくちゃ気になった案件があったので、むしろこちらからやらせてくださいとお願いした。
現段階で、まだ何も表に出ていないサービスなので社名も公開を控えるが、めちゃくちゃ伸びそうな気がしている。スモールスタートでやりたかったので、代表が企画・マーケティング、僕がデザイン・フロントエンド開発・ちょっとだけサーバーサイドもいじっていて、あとはサーバーサイドエンジニアが1名という体制。
これは1日でも早くリリースして、沢山の人に使ってもらいたいサービスだ。しばらくはステルスでの運用になると思うが、タイミングが来たらガッツリ告知したいと思う。
お断りした仕事について
独立ボーナスみたいなもので、たくさんの方からご連絡をいただけた。本当に感謝。そしてたくさんお断りしてしまった。なにせ僕の環境が他のフリーランスの人達とはぜんぜん違う。働く時間はお約束できないし、ミーティングにも参加できない、自宅に引きこもってフルリモート体制。自分でもなんてめんどくさいやつなんだろうと思う。
お断りしてしまった案件をいくつか挙げてみると
- 常駐してほしい(赤子どうするのか…
- 週に4日コミットして欲しい(他の案件が…
- Reactやって欲しい(最近のJSについていけてない
- 人事・広報やって欲しい(おや…?
という感じ。これまで僕は職域にこだわらずに、そのとき興味をもったことをつまみ食いしてきた感じだったので、会社の中では何でも屋さんだった。だから色んな仕事の依頼が来ている。
独立するときの肩書はとても悩んだ。今はWebディレクター・Webデザイナーと名乗るようにしているが、これも正確なのかわからない。ディレクターだけど進行管理のような仕事はお断りしているし、デザイナーだけどグラフィックだけのお仕事はお断りしている。
自分的にはコンセプトや世界観が打ち出せて曲がかけてキーボードが弾ける、小室哲哉のような感じになりたいと以前から思っていたのだが、Web業界においてそれに当てはまる肩書が思い浮かばない。プロデューサー?なんか違うな。
失注した仕事について
どうしてもお願いしたくてと言われて、いくつか提案・見積もりを作ったのに失注した仕事もあった。これについてはかなり怒っている。他にお願いできないからという話だったから、わざわざ提案・見積もり、そして一部のものに関してはスケジュールもおさえたのに。
対・会社だったらまあいい。コンペして失注なんてしょっちゅうだ(これもあまり良くないと思ってる)。社内でディレクター・デザイナー・エンジニアと分業化しているので、分担して営業すればいいだろう。フリーランスは一人で営業から制作・納品・回収までやっている。
提案・見積もりも適当にやっているわけではない。きちんと相手のメリットを考えて提案を作り、適正な価格になるように時間をかけて考えている。断り方もあまりに腹が立ったので、今回失注した会社からは二度と仕事を受けないと思う。
収入について
正社員とフリーランスの収入を比べるのは難しい。正社員は給料とは別に会社の備品が使えて福利厚生が受けられる。社保があって、有休があって、会社によっては特別休がある。ボーナスがあって、昇給がある。
Web関連の仕事でフリーランスの人は、経費や仕入れが多くあるわけではないので、売上=給料という感じになる。
給料という意味では、収入は正社員の頃の2.5〜3倍くらいになった。
これがいつまで続くかわからない。契約が1個飛べば、たちまち収入はがくんと落ちる。次の仕事が安定して取れるかもわからない。
とりあえず今ある仕事を確実にこなせば、少なくとも2年ぐらいは今の収入を続けられそうな気がしている。
今後の予定
しばらくはN高・GIG・某スタートアップ以外の案件は受けない予定だ。子供が幼稚園に入れるようになるまでは、自宅で育児しながら仕事をするスタイルが続くと思う。
そして改めて、受託だけではなく自分でWebサービスを提供していきたいという気持ちになった。来年に向けてサービス開発・法人化の準備も少しずつ進めている。
子供が産まれて、サラリーマンを辞めて、どうなることかと思っていたけれど、結構充実した日々が過ごせている。10年後にあのときの選択を後悔しないように、引き続き頑張っていこうと思う。