
「ひとりでしにたい」1巻 ひとりでしぬとは、ひとに頼らないということではない、という地点からスタートするのがとても良い!
2巻まで無料。
「なおりはしないが、ましになる」ですっかり好きになってしまったカレー沢薫さんの作品。
いやー・・・やっぱりこの人、マンガが面白いな。
「マンガ原作者たるもの、すべからくこうあるべし」という理想系の一つだと思う。
この人の作品なら大丈夫だろうという安心感がすごい
なにがいいかというと「テーマについて真剣に考えていること」。
ギャグ部分はぶっちゃけそれほどおもしろいと思わない。
それよりも「発達障害」とか「孤独死」という問題に対して真剣に考えていることがよい。
本職がエッセイストだからだろう。ちゃんとそのネタについて自分なりに問いを立てて、自分なりに答えを出すという部分を誠実にやっている。
そのエッセイ作りの思考過程を経たうえで、改めてエンタメの形に変換して出力してくれている。
余分に手間を掛けてくれているので、コアの部分の安定感がすごい。
何を伝えたいかがはっきりしている。
当たり前だけれど、普通の作品はエンタメなので、読者を飽きさせないようにまずは面白さの方を重視してしまう。それは当たり前だ。
でも、「面白いけれどなにがやりたいのかわからん作品」は、無料ならともかく金を払いたいとは思わない。やはり「やりたいこと」「伝えたいこと」が明確にあってそれがぶれない作品にこそ金を払いたいと思う。
この作品は、そういう部分が本当にしっかりしていて自分に刺さる。
ペースがゆっくり着実な点も個人的にはとても好み。(こちらは人によって好き嫌いが分かれると思う)
登場人物たちが体当たりでひとつずつ知っていくという流れで描いてくれているので、難しい話題であっても「なんとなくこの人のペースならついていけそう」って思わせてくれる。
単行本でまとめて読もうとすると、ペースがゆったりすぎてだるく感じるかもしれない。でも私みたいに1日1冊くらいのペースの人には本当にちょうどよい。
というわけで、ギャグの部分が多少滑ろうがまったく問題なく楽しむことができる。
35歳独身女性、この後も独身で生きることを決意するが・・・

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