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「ナポレオン」を読む8巻~9巻 イタリア方面軍はオーストリア軍を追跡

アイキャッチは「アルコレ橋を渡るナポレオン」(オラース・ヴェルネ画)


戦場で最も価値があるもの。
それは金でも兵士の命ですらない。
時間だ。

機動と攻撃タイミングが全てだ。

突破口が開かれれば均衡は崩れる。
他には何一つ残らぬ

「ナポレオン軍は機動力が優れていた」「ナポレオン軍は無茶な進軍をして冬将軍に敗れた」あたりは歴史でも習うところ。

しかし、実際のところナポレオン軍が華麗にというか余裕で勝利した戦闘はそれほど多くなく、無茶な進軍をして飢えと寒さに苦しんでいるケースが多い。


この時のイタリア方面軍も無茶苦茶であった。

というわけでカスティリオーネの戦い・バッサーノ戦役・アルコレの戦いがいかに無茶苦茶であったかを描いてくれている。


このあたりはとてもおもしろい。

ナポレオンの強さというか、異常さがとてもよくわかる。

コルシカの田舎者が軍人皇帝まで上り詰めるのは伊達ではなく、どの戦いも泥臭いとかいうレベルではなく紙一重ばっかりだったことがわかる。


現地で収奪・略奪することで高機動の部隊展開を実現している当たりも、どちらかというと「蛮族の集団」だった。しかし前の巻でも述べた通り、お行儀よくなどと考えなかったおかげで過去にない戦い方を実現した。


ナポレオン以降は略奪に依存した戦線拡大は減っていったが、歴史家は「補給戦」でもナポレオンをめちゃくちゃ詳しく取り上げている。「大砲とスタンプ」とかもいつか読みたいところ。


とにかくこの時のイタリア方面軍の戦いは苦戦続きで、何度も追い詰められた。


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