いじめ紀行全文読んだ上で北尾修一さんの記事を1~3まで読んだ感想
結論から言うと6割賛成、4割は反対という感じ。
反対部分は2ではなく3つめの記事に集中しています。
正直3はポエムでごまかした非常に卑怯な記事だと思っています。
少なくとも身内ゆえにいろんな情報を持っているからそう感じるというのはわかりますが、記事からだけは読み取れないことを「こう考えるのが自然だ」みたいに言われても困ります。
M氏は壮絶ないじめサバイバー(生還者)で、鬱屈した表現欲求の塊みたいなものを内に抱えている人だと、最初に会った時点で分かったんですね。
これは少なくとも記事からは全く伝わってきませんでした。
自分の中では、あの記事は(自身も壮絶ないじめサバイバーである)M氏が、雑誌『ロッキング・オン・ジャパン』1994年1月号で小山田圭吾さんがいじめ加害者だったと発言しているのを発見し、自分の中のサバイバー(生還者)としての記憶が駆動し、以下のような切実な問題意識を持って立ち上げた企画だったと記憶されていた
繰り返しますが、少なくとも企画の趣旨を説明するPart1~Part2および末文の文章を読んでも、そのような意図は感じませんでした。
M氏にとって、いじめサバイバーという経験は間違いなく「作品を作るときの武器」になっていて、それが後に押見修造『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』という傑作マンガ(M氏が編集担当)に結実したりする
この作品は私も読んで感想を書いたくらい好きですが、北尾氏の言う通り、小山田さんの記事を書いたときは「想いが暴走した」形になったのだと思います。
M氏がいじめサバイバーだと知っている私がこの原稿を読むと、最後の段落を書いているときのM氏の気持ちを想像するだけで胸が詰まるのですが、それはともかくとして。
少なくともPart1が削除されていなくてもPart2は胸糞悪いです。
二人のうちのひとり沢田君(仮名)と小山田圭吾さんの関係を、当事者ではない第三者が「いじめ被害者」「いじめ加害者」と決めつけていいのか、再読して私にはかなり疑問だった
これはかなり同意です。
ただ、北尾さんの切り抜きもかなり恣意的だなと思ってて
「いじめ談義は、どんな青春映画よりも僕にとってリアルだった。恋愛とクラブ活動だけが学校じゃない。僕の学校でも危うく死を免れている奴は結構いたはずだし、今でも全国にいるだろう」(『QJ』vol.3 本文61p)という一文が「孤立無援のブログ」からは削除されています。
と擁護的なところは語る割に、「いじめ談義が楽しくて盛り上がってた」というような表現が多数使われてるところは取り上げないんですね。
元記事を再読すると、記事の中で大きいのは沢田君の存在で、村田さんと朴さんのエピソードとは比重が違います。が、「孤立無援のブログ」だけを読むと、この事実はまったく伝わってきません。
これは同意しますし、沢田くんとは複雑な関係であったことは読み取れます。なので、沢田君との関係性については外部の人間がとやかく言うべきことではないと感じました。
しかし、小山田さんはその扱いが小さい村田君については逆に結構冷酷です。こちらは明確に「ひどいことをした」ことはみとめていながら「いじめじゃない」的な発言をされているし、「沢田とは会って話したいが村田には興味がない」とバッサリ。
少なくともこの「いじめ紀行」という記事だけで、第三者が「小山田さん=障害者を暴行した加害者」「沢田君=暴行被害を受けた障害者」という単純な関係性だったと決めつけるのは、あまりに乱暴ではないかと私は思います。
これも同意します。
卒業式当日の沢田君と小山田さんのエピソードが披露され、記事本文は終わります。
これについては、あまりいい話ではないと思います。(「でも、やってないんだなあ」なので)
本文でずっと匂わされていた「実は小山田さんと沢田君は仲良しだったんじゃないのか?」ということの、物的証拠が初めて示されます。つまり、読者はこう発見するのです。
「小山田さんも、沢田君に手紙を書いていたんだ…(やっぱりふたりは仲が良かったんだ…)」
ここについては北尾さんの解釈には同意できません。
ただし、孤立無援ブログがひどいという点には同意します。
「障害児の母親からもらった年賀状を雑誌でさらして爆笑」というタイトルで紹介するのは、いくらなんでも悪意のかたまりだと私は思います。
それでも2までであればそれなりに北尾さんの意見には同意できます。
問題なのは3ですね。私は3の記事はクッソ嫌いです。
もうひとつ。この「いじめ紀行」は、連載企画として立ち上げられていた、というのがポイントです。いろんな人から「いじめ自慢」(と「いじめられ自慢」?)を聞いて回るだけで面白い連載になると思いますか? やはり連載立ち上げ時には、何かもっと深いコンセプトがあったはず、と考えるのが自然じゃないですか。
これは同意しません。
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