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アスペル・カノジョ読む4巻 発達障害者とともに生きることの真の難しさがついに描かれ始める
3巻までである程度慣れてきた、という人がいるかも知れません。
でも、この巻からが本当の絶望だ。
ここまでは、ゆっくりではあったけれど1歩ずつ前身はしていた。普通の物語であれば「最初がどんなに悪い状況でも、1つずつ問題を解決できていけば……」という期待が芽生え始めるころだ。しかし、この物語では、そういう希望が出始めた頃にいろいろと台無しになるのだ。
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本当の問題はここにある。みんなだって最初から無気力なわけじゃない。最初からひねくれてるわけじゃない。最初は頑張るのだ。希望を持って他者と関わろうとするしそのために自分を抑えようと努力する。そして、ある程度はうまくいく。
しかし、維持できないのだ。維持できずまた元に戻ってしまう。前進してももとに戻される。かといって疲れてサボるとジワジワ後退してしまう。そうやっていろんな可能性が少しずつ閉じていく。この希望のなさこそがつらいのだ。
これは本人はもちろん、周りの人間をより絶望させる。助けたいのに助けられなない無力さをずっと味わい続けるのだ。
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助けようとしても、助けられなくて、苦しんでいるのを間近で見ているしかないと、自分が加害者のような気分を味わうことになる。これがめちゃくちゃつらいのである。
自分の無力さや限界を受け入れることができない人は、それまで善人ぶっててもすぐに手のひらを返してこういう障害者を叩き始める。罪悪感に耐えられないから、障害者を悪者にしだすのだ。「モンスター社員のBさんたたき」というのは色んなところで起きる。
気持ちはわかるし、この人たちは普通の人より「善人」のはずなのもわかっている。だからといって、これまでに何回も希望をちらつかされておきながらこういう手のひら返しを食らってきたこちらの気持ちなんか、この「善人」たちにはわかるまいね。
私はもう、他人を一定以上信用するということができない。悲しいけどこっちだって精神力が無限にあるわけじゃないのだ。無理なもんは無理だ。
繰り返し書いてきたが、小学校の一時期および、大学生のバイト先、2つ目の会社のクソっぷりといった一部例外を除き、私の人生において周りの人は基本的にみんな善良で優しい人だったと思っている。本来であれば私はめちゃくちゃ恵まれた生まれ育ちをしているはずだ。普通の人だったら絶対に幸せになれたはずだ。それなのに上手く行かなった。もうこれは全部自分が悪いのだ。
幸い自分は一人で生きていくくらいの金を稼ぐことはできるし、他人に迷惑をかけるくらいなら一人で生きたほうが良い。それでは寂しいからネットの人にコンテンツを提供するかわりに時間をとって相手をしてもらってる、という感覚だ。金より時間と関心がほしい。私はみなさんに「一定以上踏み込まれたくないけど自分のことを好きでいてほしい」という超ド級わがままなことを要求している。なんてひどいやつなんだ。
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でも、心が弱ってしまうと「私にもし横井さんみたいな人がいたら……」みたいな妄想をしてしまうのでこの漫画はとても危険だ。この漫画はとても危険だ。
ちなみにこのマンガは5巻からは担当が変わっているので注意。
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というわけで怯えつつも4巻も読んでいきましょう!
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