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アスペル・カノジョ読む9巻-1:はじめて斎藤さんが「死にたくない」といってくれた日
耐えきれないほどの絶望に、一握りの希望だけで立ち向かうことができるんだろうか、ということを考えさせられる9巻です。個人的な感想では、9巻と10巻が読んでて一番しんどいです。
いじめ被害の裁判に関しては一服。とりあえずいじめたやつをボコ殴りにした上に、訴えてきた相手を逆に訴え返して逆に250万円を払わせた。
一定の成果を上げたと言っても良い。でも、そんなことでスッキリできるはずもなく、心の傷も癒えたりはしない。なによりも、障害は変わらず残り続ける。
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状況としてマシになったのは、生活費を1年分確保できたことだけ。
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とりあえず次の問題に備えて一旦休止する。
しかし、休息とおもって気を抜いたのが失敗で、斎藤さんはちょっとした言葉のミスでパニックになり、またリストカットしてしまう。
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重大イベントを乗り越えたと思ってちょっと油断するとすぐに死のうとするのキツすぎる…… 今までの道のりは何だったのか……。
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今まで苦しみながらも改善に向かっていた人間関係が、再び後退してしまってほぼ0に戻ったような感覚……ここは強烈な絶望だ。
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横井からしたら「あれだけ頑張ったのに……理不尽すぎる……」という気持ちになるのだが、でも、これが齋藤さんの発達障害である。
それでも1つだけ。たった一つだけ希望があった。
斎藤さんは、パニック状態になって手首を切ったけれど、ついに斎藤さんが「死にたくない」という意志を初めて示した。
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はじめて、死にたくないと言ってくれた。
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ただし代償が大きすぎた。
横井が二人との関係に臆病になってしまう。
こんなことで果たしてこの先も一緒に居続けることはできるのだろうか。
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