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アスペル・カノジョ読む3巻  「理解のある彼くん」を得た程度で解決するほどメンヘラというのは軽い問題ではない


2巻の時点で、少なくとも斉藤さんは横井さんを頼りになる存在と信頼しました。これによって、見捨てられ不安が原因で突発的に自死するリスクは少し後退しました。少しだけ安定状態に入ったわけですね。

これは世間で言うところの「理解ある彼くん」を得た状態でしょう。


「理解ある彼くん」を得た後の発達障害の女性がエッセイ漫画などでは描けないこと


これだけで解決するほど、斉藤さんが受けてきた傷というのは生易しいものではない。

今までは斉藤さんのエネルギーは「自死」への衝動と、それに抗う力で拮抗して消耗され尽くしていたんですが、使い果たしていたエネルギーに余裕ができたら次にどうなるか。

「横井さんへの過剰な愛情表現」および「他者への攻撃性」に振り分けられるのです。わかりやすく巷で使われている言葉でいうと「メンヘラ」「ヤンデレ」化です。

かといって、それを抑え込むとその次には更に厄介な「過去の傷との対峙」が待っています。うつ病でもそうなんですがこの「恢復期」が最も危険な時期となります。

取り返しのない被害、取り返しのない自分の過ち、そういうのを受け入れてなお自分を再構築するのは、長年寝たきりだった人がリハビリをやるようなものであり、しかもそこまで頑張っても普通レベルにはなれない。

その過程で何度も罪悪感とかむしゃくしゃとか絶望が襲ってきて心がぐちゃぐちゃになり、それに耐えきれないとうっかり死んでしまいます。しかも斉藤さんはそういった衝動に対する抵抗力が弱い。

基本的にどう頑張ってもジリ貧なのだ。耐久戦だ。だからその過程に喜びがなければすぐに破綻する

多くのエッセイ漫画を描いてる人たちも、おそらくここは描いてないだけで同じような状態になると思われる。

なぜなら、斉藤さんや、発達障害のエッセイマンガを描いてる人達よりはるかに症状が軽い私ですらこういう過程はあったからだ。

私は、自分の人生がもうおしまいだと思ってから自分の人生が好転していると感じられるまでに5年位かかった。


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