「東京卍リベンジャーズ」① 死ぬ運命にある女性を救うためなんども青年時代をやり直す話
人を殺すのは悪者。でも、敵を殺すのは英雄だ
主人公は中学時代にヌルいヤンキーとしてイキっていたが、そのころに橘日向という少女と付き合っていた。
この女性が「東京卍会」という不良集団に殺されてしまう。
偶然過去に戻る力を手に入れた主人公は、日向を救うために12年前に戻ってやり直す、という話。
ぶっちゃけ「シュタインズ・ゲート」とか「アゲイン」っぽいよね。
シュタゲと明確に違うのは純粋さが足りないこと。
シュタゲは純粋にヒロインを守るために行動し、それ以外を求めないという切羽詰まった感が凄く面白いのだが、本作品はめちゃくちゃダラダラしてる。「人生をやりなおすことによって、さえなかった主人公が、不良集団の中でのし上がっていく」という「御利益」が大きい。
東京卍リベンジャーズはめっちゃ面白いがダメな点が2つある
この作品のタイムリープには何のペナルティもない。
おつかい感覚で12年後に戻ることができるため、ちょっと疑問が出てきたらすぐに「実は〇〇の黒幕は誰ですか?」と答え合わせができてしまう。(何回かそういうことをやっている)
主人公はそのことをよく知ってるはずのに、なぜかミッション達成に対して必要な情報を全部確かめずに12年前に戻って目隠し状態で戦う「舐めプレイ」を繰り返す。
やり直しにペナルティがないせいで主人公が割とのんきである。真剣さがいまいち感じられない。
もう一つ。タイムリープによって世界をゆがめてしまう倫理(タイムリープのもたらすネガティブ面)について主人公が何も考えてない。
最初の世界では普通に生きていた人が主人公の介入によって殺人犯として逮捕されたり、自殺に追い込まれたりするのだが、主人公はヒナタさえ救えればいい感じらしく、そのあたりに対して無頓着。
タイムリープというネタを使ってるのに、タイプリープ自体についてはただの便利な舞台装置としてしか考慮されてない。
エロゲでさんざん議論されて、積み重ねられてきたタイムリープものの文脈を換骨奪胎してスカッとできるヤンキーものと組み合わせたような作品であり、この辺りはさすがにちょっと無神経すぎるような気はする。(エロゲだってタイムリープものはその前のSF作品からパクってきただろって話なので、シュタゲだのエロゲが元祖だというつもりは全くないのだが、本作品は明らかにシュタゲあたりは意識してるなと思う)
だが、別にこれは本作品を否定しているわけではない。
本作品の「無節操さ」「計画性のなさ」と「ヤンキーものの組み合わせ」は実に相性がよく、私はこの作品が「嫌い」だけれど、めちゃくちゃ面白いと感じた。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?