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早春「流れ」観戦記

ライブ:【有観客・生配信ライブ】 花田裕之 ”流れ”オンライン 下北沢2023・早春編 「2 PASSENGER」ゲスト 柞山一彦(下北沢・ニュー風知空知、2023年3月15日)

東京は早くも桜の開花宣言。そして翌日、ライブ当日。下北沢までの道すがら、京王井の頭線で袴姿の女子学生を何人か見かける。卒業式だろうか。春到来、華やかだなあ…。いや、ちょっと待て。蝶々のように着物の袖をひらひらさせたお嬢様方に目を奪われている場合ではない。これから渋いオトナのライブに行くのである。我に返って、街の人混みの中、会場へと急ぐ。

元ルースターズ、ベーシスト・柞山一彦さんをゲストに迎えた「流れ」は、昨年8月から数えてこれで3回目。私自身はこの日、三度目の正直でやっと会場で生鑑賞。とても嬉しい。

オンライン配信で観た前回11月と同様、休憩を挟んだ二部制。それぞれの部の後半とアンコールに柞山さんが登場、という構成。

ステージ第1部の「Stone」から舞台に招き入れられた柞山さんとの共演。「Albuquerque」(Neil Young)、「Lazy Crazy Blues」(シーナ&ザ・ロケッツ)が印象に残る。「Albuquerque」はメランコリックで、どこか乾いた肌ざわり。ロックグラスをちりんと鳴らし、寡黙に一人呑みが進みそうな感じ。ずっと延々無限ループで気だるく聴いていたい。シナロケの方は「流れ」では初めて聴いたナンバー。この選曲に大きく驚きはしなかったが、意表を突かれたことは確か。歌と一緒に”Oh, boy!”とマスクの下でつぶやいてみる。

しかし今回のライブの真骨頂は、第2部の後半「Heavenly!」以降にありと見た。この辺りから、花田さんも柞山さんもギアがもう一段上がったように思う。気合の入り方が違ってきたというか。ステージ上の二人から一瞬たりとも目が離せず、客席のこちらも思わず背筋がピン、居住まいを正して聴き入ってしまった。

花田さんの奏でるイントロに耳をすませ、タイミングをじっと見計らい、慎重にベースの音をギターにのせていく柞山さんの姿にグッときた。ふたりのパートの掛け合いが素晴らしかった。音が重なってゆく楽しさ。海の波のような寄せ引きの妙。また、間奏はどう展開するんだろう、後奏はどう始末をつけるんだろう、などと胸がワクワクした。ある意味、スポーツ観戦をしているような気分。最終的にはアンコールまで勝負互角の引き分けで、乱闘もなく(笑)無事に終わってほっと安堵の息をつく。Phew!

ライブがはねて帰り道、開花宣言があったのならば、とふと思い出し、桜を探してあちらこちらを見回してみたのだが、残念ながら花は一輪も咲いておらず。まだお花見には少々早かった春の晩。とはいえ、ついさっきまでハナサク(花&柞)時間にたっぷりひたっていたのだから、よしとしよう。楽しい夜だった。 

【花田裕之 ”流れ”オンライン 下北沢2023・早春編 「2 PASSENGER」ゲスト 柞山一彦】
スーツケースブルース/洪水の前に/お天道さま/汽笛が/汽車はただ駅を過ぎる/二人でいよう/StoneAlbuquerqueLazy Crazy BluesSOS//(休憩)//Tell Me Why/Hey Girl/おさらば/借家のブルース/いつか見た夢/ぬすっと/Dead FlowersHeavenly!落陽もしも//(アンコール)//Femme Fataleからかわないでロックンロールの真最中 (太字=花田&柞山)

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