しあわせな余韻
ライブ : band HANADA(横浜・Thumbs Up、2024年3月29日)
2月のスタジオ配信ライブに続き、3月は横浜で待望のリアルライブである。うれしいなー。今回のセットリストは配信時のものをベースに、足し算引き算した模様。その結果、久々に「Last Train」や「Sadness City」、さらに私自身はバン花初の「Knockin’ on the Heaven’s Door」といった曲が加わり、PCモニター越しの彼らとはまた違った魅力を堪能した。
この晩、興味深く感じたのは、花田さんがスライドバーを使っていたこと(たぶん「rumblin’ lovers」だったと思うが、記憶違いだったらすみません)、それから特に前半、あちこちでちよこちょことトレモロを弾いていたこと。もうひとりのギタリスト、ツルさんのスライドギターはふつうにあったと思うが、花田さんがバン花でスライドというのはあまり見たことがなかったような気がする。他方、花田さんのトレモロは「back seat」かジプシーズ限定、というイメージだったので、これも「あれ?」という感じで、なんか印象が変わった。技術的なことは私はさっぱりわからないけど、こういうちょっとした変化(進化?)はやっぱり聴いていて面白い。
さて、圧巻はプログラム後半の「Knockin’ on the Heaven’s Door」のあたりから。エリック・クラプトン風の明るいレゲエ・アレンジで、粒の揃った音が丸いコムまりのように弾んでとんで跳ねる楽しさ。歌詞もすんなり耳に入ってくる。かつて八代亜紀が歌の極意として、悲しい歌は楽しげに、楽しい歌は切なく、ということを語っていたそうだが 、まさにそれを体現しているかのような、ステージ上のメンバー4人のチームプレイだった。そしていよいよ最佳境を迎えたバンドが、「風よ吹け」「Sadness City」「shine on」など、次々と間髪いれず曲を繰り出していく気迫がすごい。客席に拍手する暇さえ与えてくれない。本編ラストの「にわか~雨」がまたよかった。導入部のギターソロにぐいぐいと引き込まれては、12時を告げるシンデレラの鐘のように胸に響くギターの音。ポエティックでドラマティックな歌の世界を味わい深く、バン花らしく。結局、拍手は最後にまとめてなすがまま、湧き出るままに。
いつも楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。好きなものを目の当たりにして触れるヨロコビ。遠出してきた甲斐があったというもの。あとはなみなみでたぷたぷのしあわせな余韻をこぼさぬように大切に持って帰るだけ。ライブは家に帰り着くまでがライブなのです(笑)。今度はいつ、どこで。ぜひ観に行けますように。