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素敵な嘘
ライブ : 花田裕之 “流れ” (虎ノ門・Camerino、2024年9月20日)
虎ノ門でやるとは思ってもみなかった、という趣旨の花田さんのステージでの言葉。こちらにしても、虎ノ門で「流れ」を観るなんて思ってもみなかった。なにしろ虎ノ門 といえば、病院かオフィス街のイメージだったから。
カメリーノは大通りから一本入ったビルの地下1階、こじんまりとしたイタリアンレストラン。小さいながらもステージの造りや、お店の人の客席への気配りなど、土地柄にそぐわず(といっては失礼だが)ライブに力を入れて頑張っているのかな、と感じた。
金曜の夜の第一曲目はお馴染み「Tell Me Why」(Neil Young)。MCで自らを「老体」呼ばわりする割には、ギターもボーカルも力強さを発揮。前奏、歌部分、間奏、後奏、弾きたいものを弾きたいように、弾きたいだけ弾かせてもらうよ、とばかりにギターを鳴らす。こういう夜はリスナー冥利に尽きるというもの。既知の曲でも、素人目(耳?)にも明らかな、耳新しいフレーズがあちらこちらに散見。刺激的。
ステージ前半の「それでいいのさ」~「なまずの唄」、それから後半の「からかわないで」~「No Expectations」がとてもよかった。各曲単体でも文句なしのプレイ。と同時に、異なる魅力を持つ前後ふたつの曲がそれぞれ醸し出す、しかし、ゆらゆら空気が混じり合っていくような、ひとつらなりにつながっていくような融合感が心地よい。
前回、新宿「流れ」で初めて聴いた「Ask Me No Questions」(Johnny Thunders)。今回もライブ終盤に采配。いよいよ佳境に差し掛かったところで突然、「きかないで、嘘をつくから・・・」(と私には聞こえた)、って、あれ?歌詞が日本語?しかもなんか意味が元歌と真逆な気がする。ここは一体どう反応すべきなんだろうか。 むむ、花田さんにask a question したい気分。(笑)
ラスト・ナンバーの「Knockin’ on Heaven’s Door」までたっぷり堪能して、店を出たのは22時過ぎ。人いきれでむっとする地下鉄の駅のホームで、ふと現実に引き戻される。同じ地下でも、あの小さな店で聴いた嘘こそ、実はとても素敵な嘘だったに違いない。楽しい夜だった。