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Four pieces, four stars(星は4つ)

CD:「FOUR PIECES」 The Roosterz(1988年/コロムビア)

(2018年発売のUHQCD版によせて。2018年11月投稿のAmazon CDレビュー(削除済)を加筆修正)

人は17歳ぐらいの頃に聴いていた音楽に立ち返る、とどこかで耳にし、はて自分の場合は、と考えていたら、ルースターズのこの再発CDに出くわした。

一体幾歳月過ぎたのか、数えるのも面倒なくらい久しぶりに聴いたが、予想以上によかった、というのが率直な感想だ。もちろん最新式という感じはしないけど、色あせた感じもしない。今もって聴きいってしまう、硬質でギュッとつまった感じのソリッドな、すごくいい音の固まりという印象だ。

初めて聴いた時と変わらず魅きつけられてしまうのが、自分の感性が当時から進歩せず、成長していないせいなのか、あるいは、本当にこのアルバムがクオリティの高いもので、それゆえに経年劣化もなく、聴く者を飽きさせない、ということなのか。

正直、どちらがその理由なのかはよくわからない。だが、もし正解が後者であるなら、無意識ながらも自分はその頃、ずいぶん贅沢な音楽を経験していたものだと思う。

変な喩えで申し訳ないのだが、あの頃の自分は、偶然母親がしまい忘れた、高価な上等のシルクのシフォンのストールをめざとく見つけ、その意味も価値もほとんど理解せず、鉢巻きやら投げ縄やらにして、無邪気に遊んでいた幼い子供のようなものだったと思う。

やがて大人になった子供は、ある日突然気がつく。ふと首筋に巻いた、しなやかなシルクのシフォンが素肌に何気なくもたらす感覚に。時にしっとりと、柔らかく、くすぐるような甘い感覚に。また、時を変えれば実にひんやりと、どこか冷めていながらも、激しく切りつけてくるような鋭い感覚に。そしてかつての子供時代の無邪気さや呑気さを思い出し、微苦笑しつつも、その両極の至福の肌ざわりにあらためて感嘆するのだ。まるで今の自分がこのCDを味わうみたいに。

と、ここまで書いてみせたのだから、本作にはレビュー最高点、星5つがつくはず。

しかし、残念ながらそうはならない。

なぜなら、こんなにいい加減なファンだった自分でも、30年前、バンド解散と知った時にはとても悲しい気持ちになったのだ。

ルースターズ最後のオリジナルアルバムである本作は、あの時の悲しい涙一粒といっしょに星もひとつ流れて消えてしまった、ということで、星は4つ。★★★★☆

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