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12月24日、銀河堂にて

ライブ : 花田裕之 “流れ” X’mas Live at GINGADO (飯能・銀河堂、2023年12月24日)

先週のband HANADAの余韻も未だ覚めやらぬまま、今年最後の「流れ」を求めて飯能へ。昨年もそうだったが、イブということもあって街はクリスマスムード。それにしてもじわじわと足元から底冷えしてくる寒さ。飯能は都内より5°cぐらい気温が低いのよ、という銀河堂の女主人のまったく言葉通り。

ライブは昨年同様、今回も佐藤のらさんがオープニングアクトを務める。ルースターズの「Girl Friend」とオリジナルで計3曲披露。前回は気がつかなかったが、この人の声は「Girl Friend」のような優しい歌がよく似合う。

さて、Neil Youngを出囃子にいよいよ花田さん、あらわる。のらさんと同じくルースターズ、ただしこちらは「Hey Girl」でスタート。全編にわたり、ご自身の新曲旧曲や、洋邦問わずのカバーをふんだんに取り入れ、いつも以上にバラエティ(というか落差?でも、そこが好き) に富んだプログラム。一見、なんかカオスに見えなくもないが、今年も色々あったなあ、と振り返るには案外それもいいんじゃないかと。

振り返る、という意味では、この晩、特に感慨深かったのは「汽車はただ駅を過ぎる」。私事だが実は今年、我が人生史上初めてこの曲がラジオ(ちなみにNHK第一) から流れてくるのを聴いて、とても感激したのである。ルースターズ解散以降、5年前(2018年) にライブで都内を訪れるまで、その間の花田さんの一切の音楽活動を知らなかった自分。そんなていたらくなので、今さらCDでもなく、ライブでもなく、ふつうにラジオで曲がかかって、それを耳にしたということが、単純に嬉しかったんである。その喜びを思い出しつつ、花田さんの歌をしみじみ味わう。

この「汽車・・・」や「魔法の黄色い靴」(チューリップ)、「My My, Hey Hey」(Neil Young) などを含むステージ前半も面白かったが、休憩後の後半こそがまさに興が乗る、という言葉がぴったりな展開に。「からかわないで」(山口冨士夫) 、「ぬすっと」、「雨」(共にサンハウス)など、激しさと繊細さ、手練れと投げやりが交錯し、客席を魅了する。華やかな電飾きらめくクリスマス・レッドをバックに、それに負けないぐらいの花田カラーというか、オーラがキラキラ。終演後、その残像さえ名残り惜しくて、キラキラのかけらをそっとポケットに持って帰れたら、なんて、頭がお花畑なことを考えてしまった。
 
2023年もこの場所に来られたこと。これも聖夜の奇跡だったかもしれない。銀河堂よ、今年もありがとう。さて、来年はどこへ、どこまで。

皆様、どうかよいお年をお迎えください。


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