ちょっとヒネた少年少女のファンタジー集
CD: 「NEON BOY」 The Roosterz(1985年/コロムビア)
(2018年発売のUHQCD版について。2018年10月投稿のAmazon CDレビュー(削除済)を加筆修正)
初聴は1985年、当然ながらレコードでのことだった。当初はやたらときれいに色づけされた砂糖菓子のような「甘さ」ばかりが気になって、実はあまり好きとはいえなかった。
たぶん、当時十代だった自分の子供っぽくて甘い部分が、このアルバムの甘さの部分に重なって過剰に反応していたのだろうと思う。
心密かに憧れていた年上のひとに「君って子供だね」と言われて、いたく傷ついたり、やたらとむきになって否定してみたりするような心持ちで、居心地の悪さを感じていたのかもしれない。
だが、今回CDで久々に(30年以上ぶり!)真面目に聴いてみたら、意外なほど抵抗なく耳に入ってくるのに驚いた。
かつての十代はやがて年老いた子供になり、昔は気になって仕方がなかった甘さも今やむしろ悦楽の妙味。疲れ切った一日の幕を下ろすための、おやすみ前の入眠儀式としてページを繰る、ある種のファンタジー集のように聴ける。ただし、時間も空間もかなり激しくねじくれた筋書きの、ちょっとヒネた少年少女のストーリーばかりだけれど。
レコードリリース時の、このアルバムの評価や評判を自分はよく知らない。(当時はそういう情報をあまり気にしていなかったし、今でもあれこれ調べる気にはそれほどならない。)
だが、その評価や評判がどのようなものであっにせよ、結局、自分はこのルースターズというバンドがとっても好きだったんだな、という気持ちだけが、空想でも幻想でもない、いま、ここの自分のリアルな現実なのだと思う。
年老いた子供のまま、いつまでもうずくまって泣いているわけにはいかない。顔を上げれば、またリアルな今日が待っているから。
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