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日曜の夜のアンニュイとロマンチック

ライブ:【無観客・有料配信ライブ】花田裕之 “流れ”オンライン 下北沢・新春編 (2021年1月31日、下北沢・ニュー風知空知)

生配信は1月晦日の日曜日の夜。アーカイブ配信終了も翌週日曜日の夜。明日は月曜日、そしてまた仕事か・・・。日曜日が休みでない方も多いと思うが、短い新年の挨拶とともに始まった「流れ」新春編は、 プチッとブルーな日曜の夜に似つかわしく、ちょっぴりユルくてダルな空気が終始程よく心地よい。配信中、ステージ後方に置かれたふかふかのソファーに深く腰掛け、温かい飲み物でも片手にのんびり鑑賞できたらどんなにいいだろうと何度思ったことか。
季節柄、会場の空気が乾燥気味だったのか、喉の調子が思わしくない場面も見られたが、10分ほどの休憩を真ん中に挟み、アンコール2曲を含め全19曲で構成。
「流れ」の愛すべき魅力のひとつである、力みのないリラックスムードが全体に広がる一方で、「流れ」リスナー歴の浅い筆者にとっては、どこかで聴き知ってはいるものの、このアコースティックギター・ライブの中では初めて触れる曲も少なくなく、個人的には新鮮さや驚きも合わせ持った内容だった。

以下、心に残ったものについて少し書き留めておく。

まずステージ前半から「Fool For You」。元々はルースターズ、またロックンロールジプシーズでもありのナンバー。これら二者ではストレートな情熱が前面に立ち、例えるなら真昼の突き刺さるような太陽。翻って「流れ」では、エレキをアコギに持ち替えて、逢魔が刻の黄昏に気だるく傾く西陽の如し。メランコリックなギターと、キザとも伊達ともいえる歌い口はアンニュイな気分そのもの。今回も期待に違わず。いや、期待以上か。

もう一つは終盤の「Only One Good-bye」。ソロアルバム「ALL OR NOTHIN’」の1曲。死がふたりを分かつまでの愛を誓うロマンチックなバラード。アルバム全体の印象と同じく、この曲もやはり眩しく、あまり長く見つめてはいられない。筆者自身、実は CD以外で聴くのは初めて。この晩の同曲は、自身の持ち歌ながらあえて距離をおき、少し遠くから眺めるように低く抑えた奥行きのある様相で、筆者のこれまで持っていたイメージをうまく覆してくれたように思う。かつては目もくらむほどのラブ・バラードは、ロマンチックさはそのままに、さりげなく微妙な陰をも含んだバラードとして感じられた。先述の 「Fool For You」と同様、以前の曲をきっちりレシピ通りではなく、時と場所と道具(器材)を変えて、徒然なるままの花田味でみせてくれるのは大変嬉しい。

ところで、よくよく考えると冒頭のふかふかソファーに座ったら、幕間以外ずっと花田さんの背中とギターのヘッドしか見えないことに気がついた。それでは困る。なので、ソファーでのんびり鑑賞、は残念ながら諦めることにした。所詮妄想である。でもライブ自体は諦められない。前回11月に続き、今回も本編最後に登場した新しい曲(曲名不明)の今後の行方も気になる。単なるいちリスナーに過ぎない筆者だが、どうか花田さんには継続的な音楽活動を切に願う。

【花田裕之“流れ”オンライン 下北沢・新春編】
(She’s So) Untouchable/あきれるぐらい/鉄橋の下で/感謝知らずの女/Old Guitar/月が見ていた/Fool For You/雨のバス/ One For The Road//(休憩)//Sweet Virginea/なまずの唄/Sorry Baby/魅惑の宵/Sunny Afternoon/Venus/Only One Good-bye/(Title Unknown:「泣き濡れた瞳が~」で始まる歌)//(アンコール)//決めかねて/ガンダーラ

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