5年ぶりの阿佐ヶ谷は
ライブ : 花田裕之 “流れ” (阿佐ヶ谷・harness、2023年10月14日)
花田さん自身もMCで口にしていた通り、久しぶりの中央線沿線での「流れ」。過去の雑記帳を紐解いてみたら、2018年11月にここハーネスで「流れ」を観ていた。ちなみにメモ書きには、「Like a Hurricane」と「雨のバス」(当時は曲名を知らなかったので「バスの歌」と書いてあった・笑)が印象に残ったとコメントしていた。というわけで、5年ぶりの阿佐ヶ谷。
結論を先にいってしまうと、この日の「流れ」はものすごくよかった。特に休憩後、「道のはて」で始まった第二部。心の奥深くまで迫ってくるものがあった。あくまで個人的な考えだが、私自身は、基本的にはライブは演る方も観る方も一期一会の一本勝負だと思うので、ステージ中の録音や筆記等記録は取らない。というより、生来の不器用ゆえに「取れない」のである。従って都度、鳥並みの小っさい脳みそにセットリスト等は記憶するしかないのだが、しかし今回についていえば、途中からもうそんなものは取るに足らないことのように思え、どうでもよくなってしまった。ただただ全感覚をあずけて聴いていたいと思った。うっとりと充たされた気分。これぞ生の醍醐味。結局、セットリストは全23曲ぐらい?のボリュームだっただろうか。(違っていたらすみません。)
以下、補足の感想等を少し。
萩原健一の「泣くだけ泣いたら」。いい歌だけど、実は部分的に歌詞に居心地の悪さがあったりなかったり。分かるけど、人間、生きるために紙切れ1枚にこだわったり、すがったりしなければならない時もあるんじゃないかとか・・・。それはさておき、この晩は曲の後半、どこか不協和音めいたアップストロークがスパイスのようにぴりっと効いていた。My favourite とはいえない曲だから認めるのはちょっぴり悔しいけど、いいプレイだった。
「夢か幻か」(曲名はこれでいいんでしょうか?)は、ライブもいよいよクライマックスを迎えた中のオリジナル・ナンバー。近頃は歌い出しの文句が変わったみたい。どちらかというと、当初の「泣き濡れた」バージョンに親しみを感じていた自分としては、やや残念ではあるのだが、仕方のないこと。だが阿佐ヶ谷・流れでは、そんな落胆を埋めるかのように、ラストに向けての展開がとてもよい感じに進化していて感動。胸に響くギターと、ぽつり、ぽつりとつぶやくように投げかけられる短い詞。そしてその先にある無言の余白の美しさ。その沈黙を満たすフレーズは聴き手の中に。
最後に、とある親切な花田ファンの方に御礼を。終演後、この方にアンコールのうちの1曲がNeil Youngの「Hey Hey, My My」だとお教えいただいた。初めて聴いた曲だったので、耳で拾った歌詞のbits and pieces を手掛かりに、家に帰ったらまたGoogle先生に教えを乞わねば・・・、と思っていたところだった。突然にもかかわらず、質問への答えと周辺情報、ありがとうございました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。